だがそんなとき、自らに課しているルールがあるという。例えばある経営判断をするとき、最悪の場合に会社が被る損失はどの程度になるのかを見極め、少しでも生き残る可能性があるならば「やろう」と決めるのだ。そして、決めてしまった後には、損失を最小限に抑える努力も怠らない。張は大胆さときめ細やかさを併せもつ、類いまれなる経営者だ。
「私には信じている言葉がひとつあります。それは『人は企業の礎、文化は企業の魂』という言葉です。企業にはさまざまな設備や施設があります。しかし、機械だけでは決して価値を生み出すことはできません。価値を生み出すのは人間です。だから人間をいちばん大事にする。これを企業の文化にしなければならないのです」
人的資本経営やステークホルダー資本主義が叫ばれるようになったのはつい最近だ。だが張は、40年も前から「価値創造の源泉は人にある」と気づき、実践を続けてきた。時代がやっと追いついたわけだが、進化する人単合一はさらにその先をいく。張の言う「エコシステムの境界線がなくなる」時代が近いうちにやってくるかもしれない。


