欧州

2025.10.25 10:00

トランプの終戦努力をウクライナ人はどう見ているのか 期待と疑念

米アラスカ州アンカレジのエルメンドルフ・リチャードソン統合基地で2025年8月15日、ロシアのプーチン大統領(左)を出迎えたトランプ米大統領(Contributor/Getty Images)

疲弊するロシア戦時経済

ロイター通信によると、ロシアの戦時経済には疲弊の兆候が見られ、大手鉱工業各社が従業員を一時帰休させたり、労働時間を短縮したりしている。鉄道や自動車、鉱業、セメントなどさまざまな業界で、企業は国内需要の低迷や輸出減少を受けて、賃金コスト抑制のため勤務日数を削減している。ロシア経済の非軍事部門は年初来5.4%縮小しており、ロシアの2025年の国内総生産(GDP)成長率はおよそ1%に減速する見通しとなっている。

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またブルームバーグ通信は15日、ロシアの精製燃料の海上輸出は10月の最初の10日間、日量平均188万バレルにとどまり、全面侵攻の開始以降、最低の水準に落ち込んだと報じている。ウクライナによるドローン攻撃の影響で生産量が減少したため、ロシア政府はガソリンの輸出禁止措置を延長し、ディーゼル燃料にも輸出制限を課さざるを得なくなった。ブルームバーグが国際エネルギー機関(IEA)の推計として伝えているところでは、ロシアの製油能力は以前に比べ日量50万バレルほど減少しており、2026年半ばまで日量500万バレルを下回る水準が続く可能性が高い。その結果、ロシアの燃料輸出量は過去10年で最低の水準に落ち込むと予想されている。

キーウ・インディペンデントによると、プーチンは12日、製油所向けの燃料補助金に関する規制を緩和する大統領令に署名した。燃料価格が上昇して基準値を上回っても、製油所は引き続き国から補助金を受け取ることができるようになる。燃料補助金の支出額は2024年には1兆8000億ルーブル(約3兆4000億円)だったが、今年は9月までで7160億ルーブル(約1兆3400億円)にとどまっていた。

他方、ロシアのマンパワー(人的戦力)不足がさらに深刻化している兆しもある。米CNNテレビは7日、ロシアの地方政府が志願兵を増やすため契約一時金を大幅に増額していると伝えた。たとえば、西シベリアのチュメニ州は新たに契約する志願兵に対して、連邦政府からの40万ルーブル(約75万円)に加え、300万ルーブル(約560万円)を支給する。以前の契約一時金は190万ルーブル(約360万)だった。南西部のボロネジ州も契約一時金を4倍の210万ルーブル(約390万円)に引き上げている。

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ウクライナによる攻撃範囲が広がり、ロシア経済の苦痛が強まるなか、クレムリンはトランプがより厳しいムチを持ち出す前に話をしたがっているようだ。だが、トランプが本当に平和を望んでいるのであれば、必要なのはプーチンと電話会談を重ねることではなく、圧力を強めることだ。WSJが書いているとおり、「トマホークが平和のための力になることもある」。トランプは和平を仲介したいのなら、まず力を見せつける必要がある。つまり、ウクライナが十分な火力を確保できるようにし、それによってプーチンに選択肢を再考させることが求められる。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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