一方、トランプ流「ディール(取引)外交」が成果を生むとは考えられないとする向きもある。「トランプのことを交渉人だとか言うのは、俺がバレリーナだと言うのと同じぐらい無理がある」とウクライナ領土防衛隊第105独立領土防衛旅団のフリホリー・ホイダロは吐き捨てるように言った。「彼はむしろハイレベルの恐喝者と言ったほうが近い。実際にそのやり方で目的を達成してもいる。でもプーチンとの交渉では、真っ先に犠牲になるのはわれわれの利益だ。なぜならプーチンと違って、われわれにはトランプに影響を与えるすべがないからだ」
厳しさを増す現実
交渉による解決という考え自体を完全に否定する人もいる。「ウクライナとロシアの間で取引など不可能です」と話すのはキーウ在住のリュドミラ・レディチだ。「帝国的野心を持つロシアは止まらないでしょう。問題はプーチンだけではありません。一般のロシア人の考え方にも問題があります。彼らはウクライナを『資源の付属物』(従属的な原料供給地)と見なしている。仮にプーチンが取引に応じても、本人にとって悲惨な結果になるだけです。彼はたちまち失脚し、別の人物が後釜に座り、新たな力で戦争を再開することになるでしょう」
レディチは、ロシアに現実を悟らせるには軍事的・経済的圧力をかけ続けるしかないと考えている。「ロシアをより小さな自治共和国に分割することが唯一現実的な選択肢です」と彼女は言う。「多くの命が失われるでしょう。ウクライナ人はロシア人を許さないと思います。戦争の終結に向けたもうひとつの道は、ロシア国内の深部を攻撃することで、普通の市民が『ロシアは強大』という信念を持てなくすることです。経済的圧力もその助けになるでしょう。そうすれば彼らは他国を侵略する代わりに、自分たちの生活に目を向けるかもしれません」
レディチはさらにこう述べている。「帝国主義というのは恐ろしいものです。ロシア人がひもじく、生活必需品にもこと欠くようになったとき、幻想は崩れ落ちるでしょう」


