先月、アルバニアは政府内で「大臣」として機能するAIシステムを導入した。国家が初めて打ち出した前例のない取り組みである。このニュースは、過去3年間AI業界を注意深く見てきた多くの観察者にとっても衝撃だった。バルカン半島に位置する人口280万人のアルバニア共和国は、年初にデジタル手続きの支援から運用を始めたAIシステム「ディエラ」(Diella)を、公共調達を管轄する閣僚級のポストに昇格させると発表した。
政府はこれを、賄賂や便宜、恐れの入り込む余地なく、メリットのみに基づいて入札を採点するソフトウェアだと位置づけた。誰に聞くかによって評価は分かれ、世界初の反汚職の試みだと見る向きもあれば、政治的演出をまとった危険な実験だとみなす向きもある。いずれにせよ、これは現実に稼働している。
何が変わり、何が変わっていないのか
ディエラは実際の財務大臣ではない。公共調達、すなわち政府契約の落札者を決める仕組みに特化した仮想の「大臣」である。この役割は、これまで電子政府のアシスタントとして果たしてきた機能を土台に、財政的にも政治的にも重大な結果を伴う決定にまで範囲を広げたものだ。
ロイター、ガーディアンなどのメディアは、しばしば人間のえこひいきが介在するこのプロセスで、AIが段階的に入札の落札決定の責任を担い、人的介入を減らすことを目指していると報じた。
しかし、実際にどう運用されているのかは依然として不明瞭である。落札に不服のある応札者が異議を申し立てた場合、誰が責任を負うのか――首相か、監督する人間の官僚か、モデルを提供したベンダーか、それとも誰も責任を負わないのか。現時点で、アルバニア政府は説明責任の扱いについて十分な説明をしていない。
また、ディエラが何であり、何でないのかを明確にしておくことも重要である。アルバニア政府がこのAIシステムを公平かつ効率的だと表現したとしても、どのデータを使い、どう意思決定するかは最終的に人間が決める。AIシステム自体は賄賂を受け取れないとしても、人はその結果に影響を与えうる。したがって、システムが信頼に足るかどうかは技術そのものではなく、その運用・管理にかかっている。



