麟太郎は、内なる自身を「ネガティブな人間」だと語る。一方で、「その要素を活用するようになった」とも話す。
「野球は失敗がつきもののスポーツです。10割打者はいない。3割の打率を残したら凄い。4割打ったら一流選手。10回チャレンジがあったら、7回ぐらいは失敗するもの。だからこそ、失敗を想定してやっています。失敗をしたら次はこうしよう。次はこういうことができるように準備をしておこうと、自分の中で『引き出し』を作っておくことが大切だと思っています」
深く考えるから、準備をする。ネガティブな思考だからこそ、行動が楽になることもある。備えができたら、あとは「やるだけ」だ。常にそう感じている麟太郎は「最後は開き直ってポジティブにやればいい」と言い、さらに言葉を紡ぐ。
「1年生のシーズン、野球での結果と成績は満足できるものではありませんでした。パフォーマンス自体は高くなかった。でも、最低限のことはできたと思っています。じゃあ、次はどう上げていこうかと、大学2年生になった今も、ネガティブな要素を活用しながら準備をしているところです」
「どんなものでもリスクや怖さはありますが、そこから得られるものはいろいろとある。自分に何がリターンされるのか。そのことを考え、リスクや怖さを恐れずに、自分の信念を持ち続けてチャレンジしていきたい」
10月23日に行われた日本のプロ野球ドラフト会議で、麟太郎は2球団から1位指名を受けた。それでも、彼は浮つくこともなく、長期的な視野を持って自らの生き方と向き合っていくのだろう。
来年2026年にはMLBドラフトも控える。アメリカでは、大学を休学して”プロ入り“することはごく当たり前のことで、アスリートとしての人生を全うした後に復学することも可能だ。無論、大学に残って卒業する選択肢もある。
多くの可能性を秘めた麟太郎が貫くものは、周りの喧騒に左右されない挑戦する姿だ。それが、アメリカの地で過ごす20歳の、ありのままの「生き方」である。


