インテルやレアアースに続き、政府による企業出資が拡大
量子コンピューティング企業への出資は、トランプ政権による株式取得の最新事例となる。ドナルド・トランプ大統領は8月、米国政府がインテル株の10%、金額にして約100億ドル(約1.5兆円)相当を取得すると発表し、苦境にある同社の第3位の大株主となった。また、トランプ政権は7月、レアアース採掘企業のMPマテリアルズに4億ドル(約608億円)の出資を行い、リチウム・アメリカズおよびトリロジー・メタルズなど他の鉱山企業への出資も行っている。またトランプは、日本製鉄が買収したU.S.スチールのいわゆる「黄金株」を保有し、一部の経営判断に対して拒否権を行使できるようにすると述べた。
「政府が企業に資金を投じる際には、代わりに株式が提供されるべきだ」
2025年初め、商務長官のハワード・ラトニックはCNBCのインタビューで、「政府が企業に資金を投じる際には、代わりに株式が提供されるべきだ」と述べた。財務長官のスコット・ベッセントも、トランプ政権の介入主義的な政策について触れ、「中国がレアアース輸出を制限する動きに対応する形で、他の企業にも出資する可能性がある」と語った。さらに「今週、中国が行ったレアアースに関する発表を聞くと、我々は自立するか、同盟国とともに十分な体制を築く必要があることを痛感する」と述べた。
ただしベッセントは、こうした動きはあくまで戦略的産業に限定されると強調し、「過剰な介入にならないよう、慎重でなければならない」と付け加えた。
次世代の計算技術、量子コンピューターをめぐる開発競争
量子コンピューターは、現代のスーパーコンピューターをはるかに凌駕する性能を持つ次世代技術として注目されている。先日、グーグルが開発中の量子チップ「Willow」が、現時点で最速のスーパーコンピューターと比べて1万3000倍の速度で複雑な物理シミュレーションを実行したと発表した。マイクロソフトやIBMなど他の企業も、量子コンピューター開発における大きな進展を強調している。しかし、実際の商用利用までには、まだ数年を要すると考えられている。


