イーロン・マスク率いるテスラの株価は米国時間10月23日の取引開始時に5%下落した。米国で電気自動車(EV)の税額控除が終了した中でもテスラは販売を伸ばしたものの、第3四半期の利益が減少したことで株価は下落した。
テスラ決算、売上高は予想超えも純利益が減少
23日の寄り付き直後、テスラの株価は約416ドルに下落した。テスラの四半期決算発表を控え0.8%安だった前日からの下落が継続したかたちだ。
テスラは22日、第3四半期決算を発表した。同四半期における売上高は前年同期比24.8%増の280億9000万ドル(約42.7兆円。1ドル=152円換算)で、市場予想の265億ドル(約4兆円)を大きく上回った。しかし一方で、EPS(1株あたりの純利益)は0.50ドルにとどまり、市場予想の0.56ドルを下回った。加えて、純利益は14億ドル(約2128億円)となり、前年同期比で37%の減少となった。
マスク、株主の懸念をよそに人型ロボ「オプティマス」を力説
株主からは、新型モデルについての計画、ロボタクシー計画の進展、今月初めのEV税額控除の終了による事業への影響について説明を求める声が上がった。しかしマスクは、決算説明会の多くの時間を、人型ロボットのオプティマス(Optimus)に費やした。
マスクは「テスラは実世界のAIにおけるリーダーとなった」と述べ、「オプティマスによって非常に偉大なことを成し遂げつつある」と語った。さらに、このロボットは「史上最大の製品になる可能性がある」とも主張した。マスクは、オプティマスが「驚異的な外科医」になるだろうと述べ、2026年初頭に新バージョンを披露する予定だと付け加えた。
またマスクは、テスラが開発するAIチップの「AI5」をサムスンとTSMCが製造することを明らかにし、モデル訓練用のエヌビディア製チップは置き換えない方針を示した。
決算説明会の終盤、マスクは自身の1兆ドル(約152兆円)報酬パッケージに反対した2つの株主助言会社を「企業テロリスト」と呼び批判した。グラスルイスとISSは2024年、テスラの株主に対して560億ドル(約8.5兆円)の報酬案に反対することを推奨していた。この報酬案は承認されたものの、依然として裁判で係争中である。
マスクの資産、約74.1兆円で世界首位を維持
マスクは世界で最も裕福な人物であり、23日時点での推定資産は4875億ドル(約74.1兆円)に達している。10月初めには初めて5000億ドル(約76兆円)を超え、テスラの四半期販売台数が最高記録を更新したとの報道から、再びこの大台を突破していた。
テスラ史上最多の販売台数を達成、背景はEV税額控除の終了
利益は減少した一方で、テスラは第3四半期を通じて49万7000台超を販売したと報告した。これはテスラ史上最多の販売台数である。この記録的な販売実績は、トランプ政権が7500ドル(約114万円)のEV税額控除を10月1日に終了した中で達成された。
税額控除の終了を前に、マスクは「しばらく厳しい四半期が続くかもしれない」と述べ、CFOのヴァイブハブ・タネージャは、トランプ大統領による関税導入の影響で在庫面で課題が生じる可能性を示唆した。
10月初め、テスラは数年ぶりの新製品として、マスクが数年前から示唆していた「より手頃な価格のモデル」であるModel YとModel 3の低価格版を発表した。



