「緑色の彗星」を見ることはできただろうか? 「レモン彗星(C/2025 A6)」と「スワン彗星(C/2025 R2)」はともに地球から遠ざかりつつあるが、宵の空にまだ輝いている。今週末にかけては、繊細な弧を描く月が両彗星の近くに位置し、めったに見られない見事な眺めを披露してくれそうだ。
両彗星は今週初めに地球に最接近し、今は少しずつ地球から離れている。11月上旬まで観測可能と見込まれているが、輝きは弱まっていくので、今週末が最後の見ごろとなるだろう。
細い月は南西の低空で、10月23日(木)に月齢1.8、24日(金)に月齢2.8、25日(土)に月齢3.8、26日(日)に月齢4.8と少しずつ明るさを増していく。
2つの彗星のうち、より明るいほうのレモン彗星(C/2025 A6)はうしかい座の左側、かんむり座の下に位置している。一方、スワン彗星(C/2025 R2)は「夏の大三角」を構成するわし座の下にあり、双眼鏡で観測できる。
「一生に一度」の彗星を見る最後のチャンス
ともに公転周期が長く、一期一会の地球接近が偶然同じタイミングとなったレモン彗星(C/2025 A6)とスワン彗星(C/2025 R2)。10月24~26日の週末は、彗星が暗くなって視界から消える前のフィナーレの舞台となる。
地球最接近後も、彗星は暗い空でならかすかに見えており、双眼鏡を使えば鮮明に観察できる明るさを保っている。来週になると、どちらの彗星も地球からの距離が離れ、どんどん明るさを失っていく。そのため北半球の天文ファンにとっては、今週末が緑色に輝く彗星の姿をその目で確かめる最後のチャンスとなるだろう。
来週以降の夜空
もちろん来週以降も彗星を観測することは可能だ。ただ、月が次第に夜空で存在感を強め、11月5日(水)に満月となるため、暗くなる一方の彗星を見つけるのは至難の業となる。米先住民の農事暦で「ビーバームーン」と呼ばれる今回の満月は、2025年で地球に最も近い「スーパームーン」であり、しかも2019年末以来最大だ。これは地球を公転する月の軌道がわずかに楕円形をしているためで、今年のビーバームーンは平均的な月より約10%大きく見える。
11月9日(日)~10日(月)には、ややふっくらした半月が明るい木星やふたご座の1等星ポルックスとランデブーする。



