とがったニュースタイルで日本の「侘び寂び」を新解釈
古賀崇洋|陶芸家

招き猫をスタッズで覆った「NEO MANEKINEKO」や、戦国武将をモチーフにした装着できる器「頬鎧盃」など、「静けさ」を重んじる従来の日本的美意識とは対照的な「“反”侘び寂び」のアートで注目を集める。

挑戦的な作風が国内外で高く評価され、スポーツブランドやアニメ作品とのコラボやNFT展開を実現。近年は、そうした対極的な文化を併せ持つ「NEO WABI-SABI」を新たなテーマに掲げて活動し、工芸界の常識を逸脱した表現で、多様な日本文化に通ずる美意識を表現している。
日本の“オタクカルチャー”を中東へ届ける文化外交人
鷹鳥屋 明|中東コーディネーター

中東の王族と日本人の交流アテンド、企業や行政のプロジェクトへの協力、メディア出演などコーディネーターの枠を飛び越えた活動と、日本での会社勤めを並行する生活を送ってきた。
初めてアラブ地域を訪れたのは2013年、28歳のとき。「日本・サウジアラビア青年交流団」プログラムに参加し、中東文化に魅せられた。
「日本ではお酒を飲めないことがハンデになる場面が多く、下戸な私は幾度となく苦い思いをしてきました。しかしサウジアラビアでは飲めないことで『素晴らしい人だ』と褒めてもらえた。このリアクションが新鮮で、うれしかったんです」
渡航を重ね独学で習得したアラビア語に加え、折々に購入した各国の民族衣装と伝統を心得た着こなしで、現地から厚い信頼を得ることに成功。日本の観光地やアニメを紹介するSNS発信も人気だ。
「実は30年以上前から中東でも日本のアニメや漫画が流通していたのですが、日本側がその需要に気がついたのはここ最近のこと。また、これまでに中東の宗教や政治に詳しい日本の専門家はたくさんいましたが、中東のオタク文化を語れる存在は見当たらなかった。中東と“オタク”の接点として、ちょうどフィットしたのが私だったんです」
コミケ参加歴20年超の鷹鳥屋は、かつて勤務先でIP担当業務を任された経験もあり、コンテンツのライセンス交渉にも明るい。両地の文化を熟知し、日本発のコンテンツを中東へ的確に届けることができる稀有な存在として、今、アニメや漫画の国際展開に関する依頼が多数寄せられている。近年はアニメ声優に対するイベント出演などのラブコールも激しく、日本にとっては追い風やまぬ状況だが、カルチャーの橋渡しをするうえで危惧していることもある。「日本が“グローバルではこういうものが良いのだろう”と中途半端なコンテンツをつくってしまうのを危ぶんでいます。日本というガラパゴスで生まれた文化ならではの美しさを失っては意味がないんです」
カルチャーへの情熱と中東への深い理解で、新たな国際交流の光を見いだしている。
養蚕・機織りの伝統を紡ぐ「絓絹」の守り人
松井紀子|松井機業代表取締役
富山県・城端の伝統織物「絓絹」」を日本で唯一一貫生産し、自社ブランド「JOHANAS」では枕カバーなど現代人の日常に寄り添う製品を展開。繭から排泄物まで活用できる蚕を「最強のサーキュラーシステム」ととらえ、教育機関と連携した学習機会の提供や、壁紙や寝具に絹を用いた宿泊施設として空き家を再利用する構想など多方面に活路を見いだしている。「民藝運動の父」と呼ばれる思想家・柳宗悦ゆかりの地としても知られる地元の伝統産業が衰退していく状況を憂慮して、2016年からは養蚕にも着手。

「民藝には『他力美』という概念があります。自分の力を誇示せず、自然や伝統の大きな力に生かされているんだと感謝する“おかげさまで”という心持ちでいるほうが、美しいものをつくることができるという考えです。お蚕さんの命をいただく仕事だからこそ、この民藝の思想やウェルビーイングの意識で人の暮らしに貢献できるものをつくりたい」
路地裏からカルチャーを育む京都の編集型ギャラリーを運営
川良謙太|棒・TAKI / 焚 オーナー

京都精華大学在学中から個人屋号「ZUURICH」でショップ運営や展示活動に参加し、卒業後も同学のサテライトスペース「kara-S」の運営で若手クリエイターの作品展示・販売を支援。京町家を改装して開業したギャラリー&ショップ「VOU/棒」は、2019年の移転を経て京都の現代カルチャー発信拠点へと成長した。染工場跡を改装した新店舗「TAKI/焚」も昨年開業。

出身やジャンルを超えたクリエイター同士の輪を広げ、新しい表現が芽吹く自由で持続的な文化の土壌を耕し続けている。


