Deel創業者2名の資産は約3040億円に増加
マサチューセッツ工科大学(MIT)での学生時代に出会い、2019年にDeelを共同創業したブアジズと最高収益責任者(CRO)のショウ・ワンの資産は、現在それぞれ約20億ドル(約3040億円)と推定される。両者が保有する同社の持分はそれぞれ推定12%で、その価値は、今年3月に行われた評価額126億ドル(約1.9兆円)のセカンダリー取引時の15億ドル(約2280億円)から大きく増加した。
Rippling創業者コンラッド、資産は約5168億円
2016年に共同創業したRipplingの推定20%を保有するコンラッドの資産は約34億ドル(約5168億円)と見積もられている。彼は、以前に共同創業した人事ソフト企業Zenefits(ゼネフィッツ)を、無免許保険販売の疑惑をめぐる圧力を受けて辞任した後に同社を立ち上げた。今年5月に4億5000万ドル(約684億円)を調達したRipplingの評価額は、前年の135億ドル(約2.1兆円)から168億ドル(約2.6兆円)へと上昇した。これにより、コンラッドの資産は約6億ドル(約912億円)増加した。
この取引によって、Ripplingの共同創業者で元最高技術責任者(CTO)のプラサンナ・サンカーの資産も2億ドル(約304億円)増加し、推定15億ドル(約2280億円)に達した。フォーブスは、サンカーが2020年に同社を離れた後も推定9%のRipplingの株式を保有していると試算している。かつてコンラッドのもとでZenefitsのエンジニアリング部門ディレクターとして勤務していた彼は、2023年に「暗号資産コミュニティ向けの分散型SNS」と称する0xPPLを立ち上げている。
最近は妻との離婚手続きに直面しているサンカーは、フォーブスに対し「すでにRipplingの株式はすべて手放した」と述べた。しかし、関係者によると、その株式は彼に関連する信託に移されたにすぎないという。
Deelの評価額が、Ripplingを上回ったのは、2022年5月以来のことだ。その当時、Deelの評価額は、2021年10月の55億ドル(約8360億円)から一気に2倍以上の120億ドル(約1.8兆円)へと急上昇していた。一方、Ripplingの評価額は2022年5月時点で113億ドル(約1.7兆円)だったが、2024年4月には135億ドル(約2.1兆円)へと上昇していた。
財務状況は、黒字のDeelに対し成長優先のRipplingは赤字
Deelの財務状況はRipplingより堅調に見えるものの、評価額には必ずしもそれが反映されていない。同社の年間収益は10億ドル(約1520億円)を超えており、推定5億7000万ドル(約866億円)とされるRipplingの年間収益を大きく上回っているうえ、すでに黒字化も達成している。一方、フォーブスの試算によれば、Ripplingはいまだ赤字の状態だ。
Ripplingのコンラッドは5月のCNBCの取材に対し、黒字化や近い将来の上場にこだわっておらず、「あくまで成長に焦点を当てている」と語っていた。一方、Deelのブアジズは、「新規株式公開(IPO)の計画を依然として視野に入れている」としながらも、その前に再びプライベートでの資金調達を行う可能性を否定していない。実際、今回の資金調達では上限6億5000万ドル(約988億円)の新株発行が承認されており、これまでに実際に調達されたのは3億ドル(約456億円)にとどまっている。ブアジズによれば、今回調達した3億ドルは「第1弾にすぎない」という。


