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2025.10.25 15:00

市場に惑わされない投資法、「ドル・コスト平均法」を実践するための「5つのヒント」

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DCAを実践するための5つのヒント

1. 自動化する

この記事で最も重要なポイントを1つ挙げるとすれば、それは自動化である。給与が振り込まれたらすぐに、銀行口座や給与システムから証券口座や年金口座に投資資金を自動で送金するよう設定しておくことだ。多くの証券会社では、特定のファンドを定期的に積み立てる設定が可能だ。送金日と購入日を連動させることで、給料から投資へスムーズに資金を移せる。

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DCAの敵は「手作業」だ。毎回ログインして、資金を移動させ、購入ボタンをクリックするたびに、迷いや先延ばし、または単純に忘れてしまうリスクが生まれる。「今日の相場は高いから、来週にしよう」と考えてしまえば、その1週間が1カ月に延び、貴重な投資機会を逃す。

投資額は、家賃や光熱費のような固定支出として扱うべきだ。電気代を支払うタイミングを見計らったりはしないのと同じように、投資も自動で行うのが理想である。年に1回程度、収入の増減や生活環境の変化に応じて投資額を見直せば十分だ。

2. 頻度を決めて守り抜く

大切なのは、無理のないスケジュールを決め、それを一切変えないことである。DCAは、購入タイミングを頻繁に変えてしまうと機能しない。多くの人にとって最適な頻度は、給与支給日に合わせた隔週または毎月である。

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たとえば、毎月1日と15日に給料を受け取るなら、その日に投資を分けて行う。入金前に投資額を差し引いておけば、別の支出に使ってしまう心配もない。月給制の場合は、給料日ごとに月1回投資すれば十分だ。シンプルな仕組みだからこそ、長く続けられる。月1回の収入で毎週投資を試みるのは無理があり、挫折の原因になる。

重要なのは頻度ではなく、継続することだ。月に1回でも、確実に実行できるならそれで問題ない。

3. 現実的な投資額を設定する

固定額は数年単位で続けられる金額でなければならない。無理のない基準額を設定し、たとえば50ドル、100ドル、500ドル、1000ドルなど、自分が生活を圧迫せずに支払える範囲で決めることが重要である。

「まずは自分に支払う」という考え方を持ち、支出の後に残った金額を投資に回すのではなく、最優先項目として投資額を確保する。支出後の残りを投資に回そうとすると、ほとんどの場合、お金は残ることはない。だからこそ、自動化が重要になる。給料が入る前にシステムが自動で投資分を確保してくれれば、確実に積立が継続できる。

収入が増えたときや、税金の還付、ボーナスがあったときには、その分投資額を増やすこともできる。ただし、定期的な投資額は、そのような一時的な収入を考慮に入れたものではなく、長期的に続けられる額に設定することが重要だ。短期間に大きな額を入れるよりも、30年にわたり、小さくても安定した投資を続ける方が、最終的に大きな成果を生む。

4. 市場が下落しても動じない

市場が好調なときは、誰もが規律ある投資家になれる。本当の試練は、不況や金融危機、弱気相場のニュースを耳にしたときだ。ここで投資を止めてはいけない。休んでもいけない。落ち着くまで待つのも誤りである。

DCAの真の強みは、長期的に平均取得単価を引き下げられる点にある。市場が暴落したとき、資産価格は言わば「セール状態」だ。たとえば、あなたのインデックス・ファンドが1口100ドルから70ドルに30%下落したとする。同じ500ドルの投資でも、以前の5口に対して今回は約7.1口購入できる。つまり、500ドルで約42.9%多くの口数を買えることになる。下落局面でも規律を守れば、相場が回復した際により大きな利益を得るチャンスが広がる。

逆に、投資を止めてしまうと安値で買う機会を逃し、回復が見えてから再投資を始めることになる。そのときにはすでに価格は上がっており、高値掴みのリスクが高まる。市場の変動に惑わされず、淡々と続けることが重要である。

5. 幅広く分散された資産を選ぶ

DCAは、市場タイミングを見誤るリスクは減らせるが、それでも「銘柄選択を見誤るリスク」は残る。そのため、長期的に価値が上昇する可能性が高い資産を選ぶことが重要だ。

DCAを個別株への投資や、ある1つのテーマに則した高ボラティリティの資産に適用することもできるが、それには不必要なリスクが伴う。なぜなら、単一企業の株はどれだけ計画的に買っても倒産する可能性があるからだ。個別企業に「長期的上昇」が保証されているわけではない。

したがって、DCAには低コストで幅広く分散されたインデックス・ファンドやETFが最適である。これらは業種や地域をまたぐ数千の企業のパフォーマンスを反映しており、仮に1〜2社が失敗しても他の成功で補える。広範な分散によって、長期的成長の確率を高められる。

DCAは安定性と継続性が核にある戦略であり、投資対象も同じ価値観を反映すべきである。個別株への投資は、ポートフォリオ全体の中でごく小さく、なくなっても困らない範囲にとどめるべきだ。

まとめ:ドル・コスト平均法とは、規律を守る投資へのコミットメント

ドル・コスト平均法とは、規律を守る投資へのコミットメントである。市場のタイミングを測るストレスを取り除き、シンプルで再現可能なプロセスに置き換える。DCAは、どう投資すべきかという問いに対し、感情を排し、市場の長期的上昇トレンドに委ねるという答えを示す方法だ。

上記のヒントに従い、今日から資産形成を始めよう。そして、計画を守り抜くことだ。より具体的なアドバイスを得たい場合は、ファイナンシャル・アドバイザーや投資アドバイザーに相談することを勧める。

forbes.com原文

翻訳=江津拓哉

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