すべてのマイノリティが働きやすい環境づくり
Day2では、Toget-HER発起人の一人であり、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーのパートナー大塚泰子氏が「ビジネス環境における男女格差是正に向けた提言」を行った。大塚氏はまず、2030年までに女性役員比率30%という政府や経団連が掲げる目標について、日本企業の女性役員の54%が達成できないと回答した調査結果を紹介。「男女雇用機会均等法施行から40年、女性活躍推進法は10年の節目となる今年、日本のジェンダーギャップ指数は世界で118位。労働力人口の減少によって、2040年には日本のGDP(実質)が2024年の559兆7887億円から480兆円を切るまでに大幅に減少すると試算されており、多様性の欠如にこのまま何も手を打たなければ、さらなる国際競争力の低迷を招く」と警鐘を鳴らした。
そして性別、人種、雇用形態など多様な観点での人材ポートフォリオ策定の必要性を訴え、定量的な目標設定と情報開示、外部視点導入の徹底が重要だと述べた。さらに「すべてのマイノリティにとって働きやすい環境作りは優秀な人材を呼び込むだけでなく、投資家からの評価に直結する。多様性の推進はコーポレートガバナンスの問題ではなく、重要な経営戦略」だと結論づけた。
労働人口減少に地方の衰退、イノベーションの停滞と、押し寄せる社会課題を前に、女性活躍はまさに待ったなしの状態だ。2日間にわたり多様な視点から繰り広げられたセッションは、女性のエンパワーメントを阻むハードルを浮き彫りにし、乗り越えていく方法を提示した。それを実行できるかどうかは、社会全体での意識改革や仕組みづくりだけでなく、女性たち自らが立ち上がり、支え合っていく、シスターフッドの姿勢にかかっている。


