「エンドゲーム」の拡張可能性
佐俣:一方で、呪いでもあるんです。年30%成長しなければならないので、例えば、孤独・孤立、ホームレス問題には触れることは難しい。加えて、ゴーイングコンサーン(継続企業の前提)という呪いもある。一方、NPOにはエンドゲームという武器がある。エンドゲームとは、組織の事業モデルや介入策の有効性を証明したあと、最終的にどのようなかたちで社会課題全体の解決に貢献していくのか、を示すもの。例えば、国や地方自治体による制度化、スタートアップに模倣してもらうなど──エンドゲームがNPOのゴールであると定義すると「社会課題解決」ではNPOのほうが強さがあると思う。エンドゲームのひとつであるミッション達成を実現させた稀有なNPOである、かものはしプロジェクト・村田さんに話を聞かせていただきたいです。
村田早耶香(以下、村田):私たちが共同創業したかものはしプロジェクトは、2002年に「こどもが売られない世界をつくる」を掲げて、カンボジアで子どもの人身売買、虐待、貧困の問題への取り組みを始めました。活動開始時は、年間100万人ほど18歳未満の子どもたちが売春宿に売られている状態。ITを軸とした自立収益型事業モデルから始め、より子どもが売られてしまう可能性の高い最貧困層支援、職業訓練と雑貨工房であるコミュニティファクトリーの立ち上げ、孤児院・警察支援の着手も行いました。人身売買における需要と供給をなくすという観点から取り組み、法執行強化をすることがいちばん効果的であることがわかり、法執行のところにも資金を出しました。
小沼:この動きを横から見ていて、本当にすごいと思いました。ひとつのモデルを確立した後に、これでは問題解決しないと、事業をピボットさせて、最終的にはカンボジアの法執行強化に貢献し、警察の訓練まで行う。とてつもないことをしているな、と。
村田:しつこく、ひたすら「解決」するために何が必要かを問い、必要なことをやり続けた結果ですね。18年にはカンボジア事業を終了しました。
斎藤:スタートアップとの違いを感じるところです。スタートアップでは、問題解決し終わると食いぶちがなくなるという経営的なジレンマがあります。NPOでは、本質的な課題解決のためにこのルートでやればいいということをシンプルに意思決定できる。
小沼:こうした背景には、寄付のお金というすごく自由な資金調達が成功しているがゆえにできる経営スタイルがありますよね。


