経営・戦略

2025.10.26 12:00

米レストランチェーン「フーターズ」復活を目指す、70代創業者たちの大変革

Photo by Kevin Carter/Getty Images

再建計画が承認、「より健全なイメージ」に回帰へ

テキサス州の破産裁判所は、先月彼らの再建計画を承認し、最終手続きは間もなく完了する見通しだ。キーファーは今、フーターズの再生に本格的に乗り出している。その第1歩として彼が掲げるのが、かつて、ウェイトレスに「過度にセクシーなユニフォームを着用させた」と批判を浴びたチェーンを「より健全なイメージ」に回帰させることだ。

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現在、米国内で売上上位30店舗のうち、約半数はキーファー率いる「フーターズ・インク」グループが運営している。これらの店は、創業当初の「フロリダ風ビーチ小屋」の雰囲気を踏襲しており、店員の「フーターズ・ガール」は白いTシャツと、「以前よりやや長め」のオレンジのショートパンツ姿で接客する。

この点についてキーファーは、フーターズ・オブ・アメリカを所有してきたプライベート・エクイティNord Bay CapitalとTriArtisan Capital Advisorsの2社を「コンセプトを過剰に性的化した」と批判している。「女性の胸を強調したレストラン」というイメージを過度に押し出したためだ。キーファーのグループは、今回の再建計画で約54店舗を取得し、創業当初からのフランチャイズ加盟者を含む「フート・アウルLLC」が残り57店舗を取得する。

一方、創業メンバーで初代メニューを考案したディジャナントニオは、「フーターズをかつての姿に戻すのは簡単ではない」と語る。「仕事で嫌なことがあった日も、いいことがあった日も、フーターズに来れば気分が良くなる。客が戻ってくるのは、サービスがいいからだ。でも、料理が美味しくなければ意味がない。『本来の味』を取り戻すのは簡単じゃないが、覚悟はできている」。

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「この再建が必ず成功する保証はない」とキーファーも認める。「客たちを取り戻さなければならない。それは裁判所が認めたからといって、すぐに実現できるものではない」。

今回の取引以前、創業者グループの「フーターズ・インク」の推定年間売上は1億ドル(約152億円)を超え、フォーブスの試算では純利益率は7%と健全だった。店舗数を3倍に拡大すれば売上と利益も膨らむ可能性があるが、同時に資金を大量に消耗する危険性もある。

老舗チェーンの相次ぐ破産、創業メンバーは再建できるのか

フーターズの破産は、ここ数年で相次いだ老舗の中堅レストランチェーンの破産申請に続くものだ。そこには、レッドロブスター、TGIフライデーズ、ブカ・ディ・ベッポなどコスト削減や新興チェーンの台頭で客離れが進んだブランドが並んでいる。

プラネット・ハリウッド創業者のロバート・アールは、2008年にブカ・ディ・ベッポを970万ドル(約14億7000万円)で買収し、2024年の破産まで所有していた。その後、同チェーンは債権者のメイン・ストリート・キャピタルに2700万ドル(約41億円)で売却された。「チェーンを再建できる可能性が最も高いのは誰か? それは創業者たちだ」とアールは語る。だが、こうも付け加えた。

「老舗チェーンが自分を再発明するのは難しい。白いTシャツとオレンジのショートパンツだけでは不十分なんだ」。

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翻訳=上田裕資

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