サービス

2025.10.22 14:30

トランプ政権に屈するTikTok、「個人データ」を同意なしに当局と共有

Krot_Studio / Shutterstock.com

ユーザーへの通知が後退、異議申し立ての機会が失われるおそれ

しかし、TikTokが最近行った方針変更の1つは、こうしたICEの召喚状に対してユーザーが異議を申し立てることを難しくする可能性がある。この変更で、同社は『データを政府に引き渡す前にユーザーへ通知する』という従来の約束を削除した。通知がなければ、データを要求されている本人は召喚状に異議を唱える機会を失うことになる。

advertisement

2025年4月25日までは、TikTokのウェブサイトに「法執行機関へデータを開示する前にユーザーへ通知することを当社の方針としている」と明記されていた。しかし現在は、「法律で義務付けられている場合に限り、ユーザーに通知する」と、その記述が改められている。新たなポリシーでは、TikTokが「データを引き渡す前」ではなく「引き渡した後」に通知する旨を定めており、これにより、ユーザーはデータ開示を事前に止める手段を失うことになる。

TikTokは、この文言を変更した理由についても、繰り返し寄せられた質問に一切回答していない。

通知義務の例外が多用されることで、法的な抜け道が原則を脅かす

多くの場合、連邦法はテック企業に対し、行政召喚状に基づいてユーザーのデータを提出する前に、ユーザー本人へ通知することを義務付けている。だが1986年に通信保存法が施行されて以来、「本人に通知すれば逃亡するおそれがあると政府が判断した場合には、通知を遅らせることができる」という例外が設けられており、実際にはこの例外が原則を形骸化させかねない状況にある。特にICEが追跡対象とする人々が通知を受けて逃亡する可能性は十分に考えられるため、こうした例外が多用される余地があるのだ。通知義務が法律で定められていない国々では、TikTokの今回の方針変更は米国以上に大きな影響を及ぼす可能性がある。

advertisement

TikTokの新たなポリシーでは、データ要請に関する文言もより曖昧で柔らかい表現に変わっている。以前のFAQには「TikTokは法執行機関からのデータ要請を拒否する」と明記されていたが、現在は「TikTokはデータ要請を拒否する場合がある」と記載されている。また、「報告義務」と題されていた旧セクションは「自主的報告義務」にその名称が変更された。このセクションでは、「正式な法的要請を受けずとも、適正な法的手続きに基づきTikTokがユーザーデータを開示する場合がある」と説明されている。

更新後のポリシーでは、その例として「児童の性的搾取が疑われる事案を全米行方不明・被搾取児童センター(NCMEC)に報告すること」を挙げており、TikTokはこれまでに数十万件の報告を行ってきた。こうした報告は、すべてのテック企業が行っている通常の対応でもある。もう1つの例として、TikTokは「不審な金融取引を関連当局に報告すること」を挙げている。

同社は、これらの文言を変更した理由についての質問にも一切回答していない。

次ページ > トランプ政権が影響力を行使、TikTokは特異な立場に

翻訳=上田裕資

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事