米国では2010年から2020年の間に100歳以上の高齢者が50%増加し、8万人を超えた。これは出生率や人口動態の面で他国をしのいできた米国が、ついに高齢化社会の現実に直面しつつあることを示している。
米国勢調査局が今年9月に発表した報告書によると、100歳以上の高齢者は1万人に2人と全米人口のごく一部にとどまっているものの、平均寿命の延伸と出生率の低下という世界的な変化を象徴している。世界で最も100歳以上の高齢者が多い日本はその倍以上を数え、人口動態の変化という現実に長年悩まされてきた。
2020年時点で、米国における100歳以上の高齢者の6割余りが100歳または101歳で、105歳以上はわずか10%だった。割合でみると平均寿命の長い女性が圧倒的に多く、100歳以上の米国人の79%を占めた。人種別では白人が多く、黒人やアジア系の割合は全体の人口比率からみるとやや少なかった。
一方、ヒスパニック系の割合は著しく低く、米国人の18.7%がヒスパニック系であるにもかかわらず、100歳以上は約9%しかいなかった。これは、ヒスパニック系が米国で最も急速に増加している人口グループの1つであり、若年層が多いためかもしれない。全米で100歳以上の高齢者が最も多い地域はハワイで、次点がプエルトリコだった。
人口動態の変化が加速
平均寿命と高齢人口が増加する一方で、米国の出生率は急落している。2024年時点における15~44歳の米国人女性の出生率は1万人当たり54.6人で、リーマンショック後の不況時の60人台からも低下している。出生率のピークは1950年代後半~1960年代前半のベビーブーム期で、女性1万人当たり100人を超えていた。
高齢化と出生率の変化に伴い、近年の米国では人口動態の変化が加速している。2010年と2020年の国勢調査を比較すると、ベビーブーマーが定年を迎える中、65歳以上の米国人の割合は4ポイント増加して16.8%となった。1990年と2000年、2000年と2010年の比較では、65歳超人口の割合はほぼ横ばいだった。
ロバート・ケネディ・ジュニア厚生長官は16日、ドナルド・トランプ政権が一部の不妊治療薬の値下げで製薬会社と合意したと発表した後、米国の出生率の低下は「国家安全保障上の脅威」だと述べた。
1970年代以降、米国の出生率は人口が増減せず長期的に安定する「人口置換水準」を下回っている。こうした中、米国の人口を支え、若年層を呼び込む決定的な要因となってきたのは移民の存在だ。出生率が低いにもかかわらず米国の人口が増加傾向を維持できたのも移民のおかげである。これは人口の減少が始まり、移民の促進に躍起になっている他の先進国とは対照的だ。
しかし、トランプ政権は不法滞在者をはじめ、ビザ保有者や留学生、出生地主義に基づく市民権を有する人々まで、ありとあらゆる形態の移民を対象に取り締まりを強化している。



