大谷翔平や菊池雄星を育てた岩手・花巻東高校野球部の監督を父に持つ、佐々木麟太郎(20)。現在、米国のスタンフォード大学2年に在籍する麟太郎選手が、10月上旬の単独インタビューで、その心境を明かした。
パロアルトの大学寮から語る「二十歳の現在地」、前・中・後編の3回連続でお届けする。
1分1秒を徹底的に管理する
常識と非常識。
そんな固定観念すら持たない、どこかエキセントリックな環境がある米国・スタンフォード大学で、佐々木麟太郎は「二十歳の時間」を過ごしている。
「常識を覆すような、ある意味で、常識と非常識にとらわれずに自分で何かを創造している人たちが多い大学ですね」
ゆえに、タイムマネジメントへのこだわりを持つ。「1分、1秒を自分でどう管理するか。大学では時間の使い方を考えさせられることが多い」と麟太郎は言う。
岩手・花巻東高を卒業してスタンフォード大学へ進学した麟太郎にとって、昨年9月から始まった大学1年生の時間は濃密で、自身の思考や行動に刺激を与えてくれる「大きな経験」となった。そこにあったのは成功体験ばかりではない。日本からアメリカへ渡り、言語や文化の違いを感じた。高度な学業も含めて「ストレスばかりだった」と麟太郎は話す。
「でも、ストレスって、大切なものだと思っています。たとえばウエイトトレーニングでも、負荷がどんどんと上がっていくほど筋力は成長する。勉強も一緒です。負荷をかけて、それを乗り越えた時に自分自身の成長がある。自分という『人』を造っていく中で、学業と野球において毎日のように『壁』となり、ストレスに感じることはたくさんありますが、それを乗り越えていく価値を感じています」
日々の宿題、もちろん英語によるプレゼンテーションが多い授業など、2年生となった今でも、麟太郎にとっては「ストレスばかり」だ。野球においても、自身の課題を見つめ直す時間が多いのだという。「気持ちよく練習を終える日は、ほとんどない」と言う彼は、こう言葉を加える。



