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2025.10.23 11:15

赤字13億円の聖地「国立競技場」から稼げるスタジアムへ 共創の先にある未来

撮影/松永裕司

JNSE 竹内晃治代表取締役社長
JNSE 竹内晃治代表取締役社長(撮影/松永裕司)

この局面を打開するため、JSCは23年に運営管理の民営化(コンセッション方式)を決定。公募の末24年6月、NTTドコモ、前田建設、SMFL、Jリーグなどを中心とするコンソーシアムが設立した株式会社ジャパンナショナルスタジアム・エンターテイメント(JNSE)を運営事業の委託先として選定した。JNSEは25年4月よりすでに業務を開始しており、この10月15日、JNSEは「事業戦略発表会」において国立競技場の「ナショナルスタジアムパートナー」第一号として三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が決定したと発表。26年1月より呼称を「MUFGスタジアム」とすることを明らかにした。

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国立競技場が「MUFG スタジアム」に…。この一報に、驚きと共に、一抹の違和感を覚えた人も少なくなかっただろう。国民的資産ともいえるスタジアムが、特定の企業名を冠することに実際、SNSなどでも異議を唱える意見が散見された。

発表会当日、JNSEの竹内晃治代表取締役社長に、なぜ「国立」の呼称を残した愛称にしなかったのかと訊ねると「『国立競技場』という正式名称は当然残ります。『MUFGスタジアム』という呼称が新たに加わると考えて頂きたい。この呼称を定着させるためにMUFGさんと一緒に国立競技場を作っていきたいというビジョンのスタートです。もし短い呼称で書いて頂くなら『MUFG国立』という名前を使って頂くことが、アスリートにもファンにも愛着を持ってもらえるかと考えています。国立競技場の伝統と格式はしっかりと受け継ぎ、正式名称は残ります」との明確なメッセージが返ってきた。

発表会が「命名権発表会」ではなく「事業戦略発表会」と銘打たれた点からも、このパートナーシップが単なるネーミングライツ(命名権)の売買という次元の話ではない事実がうかがえる。これは、国立競技場がその存在意義を再定義し、日本のスタジアムビジネス、ひいては社会全体の価値創造のあり方に変革を迫る、壮大な挑戦への意思表明と受け取ることができよう。

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