ブランド認知と市場シェアの確立
イノベーションには、市場の中でブルーオーシャンとなる部分を明るみに出す側面がある。そのため真っ先に動いた者は、早期にブランド認知を確立して市場を獲得するチャンスを得て、大幅に有利なスタートを切ることができる。
ポータブルゲーミングPCの販売台数は合計600万台、Switchは1億5000万台
前述した任天堂のSwitchは、この原則を実行に移したお手本のような事例だ。Switchの大成功を受けて、同様の成功をつかみたいと考えたポータブルゲーミングPCが次々と市場に投入された。だが、これらポータブルゲーミングPCの販売台数は合計でも600万台と、Switchの1億5000万台と比較してわずかものにとどまっていることが、最近の分析で判明している。
ブランド認知を確立し、早々に市場を支配すれば、その効果は雪だるま式に膨らむ傾向があり、たとえ新たなライバルが参入したとしても、永続的な顧客ロイヤルティにつなげられる。これによって、真っ先に動いた企業は、強力な価格決定権を得ることが可能になり、結果的により大きな利ざやを確保できる。
Uberが市場全体の売り上げの約76%を占める
市場に新たに参入した競争相手は必然的に、最初に参入した企業がすでに確立した評判や市場シェアと戦う必要に迫られる。それは、勝利を収められる企業がほとんどない、困難な戦いだ。例えばライドシェア業界を見ると、Uber(ウーバー)が市場全体の売り上げの約76%を占めている。最大のライバルであるLyft(リフト)がこの市場に参入したのは、ウーバーの3年後だった。この3年間が、ウーバーが業界トップの地位を固めるのに十分な時間だったことは明らかだ。
誰よりも早く動くことで得られる長期的な見返り
イノベーションの恩恵を得られるのは、「完璧な確証が得られるまで待つ」ことをしない者たちだ。真っ先に動き、不確実な状況にあえて踏み込むことが、勢いをもたらす。そして、真っ先に動くためには、ささやかだが大胆な1歩を踏み出す個人、素早く構築され継続して学ぶチーム、市場に反応するのではなく、市場の形成にコミットする企業組織が不可欠だ。
真っ先に動く者はリスクを背負うが、長期的なメリットは、そのリスクを上回ることが多い。メリットの例としては、以下のようなものが挙げられる。
・顧客ロイヤルティを確立する
・数年、時には数十年わたり、製品カテゴリーを明確に定義できる
・野心的なミッションに引かれる人材を引き寄せる
・何倍ものリターンをもたらす、持続的なエコシステムを創出する
顧客の期待が移り変わるなかで、変化のペースは日進月歩で加速している。そんな今、ためらって動かないことは、今すぐ行動に移すよりもリスクが高くなるケースが多い。真っ先に動く者がつまずくこともあることは事実だ。しかし、大胆に早期に動く意思を持つ者がアドバンテージを得る傾向が強まっているのは明らかだ。


