キャリア

2025.10.24 13:30

ホワイトカラー消滅時代を生き抜く「ボス力」と能動性

2025年10月24日発売のForbes JAPAN12月号第一特集は、「新いい会社ランキング2025」特集。上場企業を対象にした毎年恒例の大企業特集では、今年は「ステークホルダー資本主義ランキング」と、新たに「ESGフィット度ランキング」の2つを掲載。第2特集は、「『ソーシャルR&D』を実装するNPO50」だ。NPOだからできる「ソーシャルR&D 50」と称して、50団体のリストも掲載。今後、経済社会における重要な役割を担うであろう「NPOの今、未来」とは。そのほか、不定期連載「DISCUSSION」では、冨山和彦らが登場する。

生成AIの隆盛により、若手人材に求められるスキルが大きく変わろうとしている。数々の企業再生を手がけた冨山和彦は「必要なのは『ボス力』だ」と説く。


日本は少子高齢化による深刻な人手不足と、AIなどデジタル化の進展によるホワイトカラー企業での人余りが同時に起こる社会に突入する──。これまで数多くの企業再生や経営改革に携わってきた日本共創プラットフォーム代表取締役会長の冨山和彦はそう警鐘を鳴らす。混迷の時代に、若者のキャリアパスとして有力な選択肢となりうるのが、一般社団法人VENTURE FOR JAPAN(=ベンチャーフォージャパン 以下、VFJ)の取り組みだ。VFJは、起業家志望など成長意欲の高い若者を地方の中小企業やスタートアップに事業責任者として派遣し、新規事業などに挑戦させる。「VFJなら若いうちから、どんな世界でも通用する『ボス力』を養うことができる」と理事を務める冨山は語る。2022年にVFJを設立した代表理事の小松洋介と、2年間の「武者修行」を経験したVFJ卒業生3人に集まってもらい、冨山を交えて「ホワイトカラー消滅時代」のキャリアの築き方について議論してもらった。

小松洋介(以下、小松VFJは、成長意欲の高い若者が経営者直下の事業責任者として2年間限定で働くことで、起業できるレベルの経験と実力を身につけることを目指します。企業側も意欲ある若者を採用することで、新規事業や既存事業の拡大を仕掛けて成長できる。そうした人材や企業を日本中に増やしていきたいと思って活動しています。

冨山和彦(以下、冨山VFJの取り組みは、もともと米国で始まった「Venture For America」のムーブメントが源流にあります。私は数多くの企業再生に携わるなかで、日本企業が高いレベルの技術とオペレーションをもち合わせながら、経営がうまくいかないのはなぜなのかを考えてきました。米国でのムーブメントを知り「経営というのは学歴もMBAも関係ない。結局、経営者の近くで仕事をしなければ身につかない」と確信したのです。日本でもこのムーブメントが起こればいいなと思っていたところ、小松さんがVFJを設立するという話を聞いて「これは応援するしかない」と理事を引き受けました。今日はその卒業生から直接、苦労話を聞けるのが楽しみです。

冨山和彦◎日本共創プラットフォーム代表取締役会長。東京大学法学部卒業。在学中に司法試験合格。スタンフォード大学でMBA取得。ボストンコンサルティンググループ等を経て、2003年、産業再生機構設立時に参画しCOOに就任。07年、経営共創基盤(IGPI)を設立。20年、日本共創プラットフォームを設立。
冨山和彦◎日本共創プラットフォーム代表取締役会長。東京大学法学部卒業。在学中に司法試験合格。スタンフォード大学でMBA取得。ボストンコンサルティンググループ等を経て、2003年、産業再生機構設立時に参画しCOOに就任。07年、経営共創基盤(IGPI)を設立。20年、日本共創プラットフォームを設立。
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文=中居広起 写真=若原瑞昌

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