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2025.10.22 12:30

テスラを追う米新興EV「リビアン」、680万円の小型SUV「R2」を2026年初頭発売へ

RIVIAN「R2」(C)RIVIAN

RIVIAN「R2」(C)RIVIAN

2026年初め、米電気自動車(EV)メーカーのリビアン(RIVIAN)は米国で小型SUV「R2」を発売する。価格は4万5000ドル(約680万円。1ドル=151円換算)から。創業者兼CEOのRJ・スカリンジは、テスラの主力車種「モデルY」と十分に競争できると見込んでいる。

新車全体の平均価格を下回る「R2」で、テスラの売れ筋「モデルY」に真正面から挑む

リビアンは2021年にEVの販売を開始して以来、波乱続きだった。生産台数の初期目標を達成できず、販売不振が2年続いた。インフレや鉄鋼・アルミへの関税など、コロナ禍後の逆風にも直面した。そして現在では、EVに冷淡な連邦政府のもとで事業を進めねばならない状況にある。それでもスカリンジは、次の主力モデルの発表を前に、これまでになく楽観的だ。リビアンの「R2」は、テスラの最も売れ筋である「モデルY」に真っ向勝負を挑むことになる。

「もちろん私は大いにひいき目で見ているけれど、R2はEVの普及全体を一段引き上げるきっかけになると思っている。テスラのときに起きたことと、そう違わない形でね」と彼はフォーブスに語った。

リビアンは現在、米国で2026年初頭に発売予定のR2の生産準備を進めている。既存のSUV「R1S」やピックアップトラック「R1T」よりも、サイズがひと回り小さく数万ドル(数百万円)安いこの車両の価格は、4万5000ドル(約680万)からだ。これは、米国で販売される新車全体の平均価格を下回る水準となる。

年産16万台体制を確保、航続性能とオフロード走行性能で差別化

生産は、イリノイ州ノーマルの工場で行われる。この工場では現在、R1シリーズと、アマゾンなどが利用する商用バン「EDV」を製造しており、年間16万台以上のR2を生産できる能力を備えている。スカリンジによれば、R2は価格面で米国の人気セグメントである小型クロスオーバーと同水準にありながら、車内のテクノロジーや約480キロメートルの航続距離、本格的なオフロード走行性能によって差別化を図るという。

R2は存続を左右する量産モデル、成功が会社の命運を決める

過去数年の試練を経たリビアンにとって、R2はスカリンジの言葉どおりの性能を実現して、消費者からの支持を得ねばならない存在だ。調査会社AutoPacificのエド・キム社長兼主任アナリストは「R2はリビアンにとって“生きるか死ぬか”の車種だ」と指摘する。「R1 SUVは高価で、ブランドを世に知らしめるためのステートメントモデルだった。しかしR2は量産モデルとして会社の存続を左右するほど重要だ」

一方、テスラの「モデルY」は、同社の収益を支える中核であり、世界で最も売れているEVでもある。このモデルは、米国で今年第3四半期までに26万5000台以上を販売。トランプ政権が先月末に7500ドル(約110万円)の連邦税控除を廃止したことを受け、駆け込み需要で販売が急増した。電動クロスオーバー市場でこれに次ぐのはGMの「シボレー・エクイノックスEV」だが、9月末までの販売台数は5万2000台にとどまり、モデルYの5分の1以下にすぎない。

リビアン(RIVIAN)の創業者兼CEO、RJ・スカリンジ。Photo by Amy E. Price/SXSW Conference & Festivals via Getty Images
リビアン(RIVIAN)の創業者兼CEO、RJ・スカリンジ。Photo by Amy E. Price/SXSW Conference & Festivals via Getty Images
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翻訳=上田裕資

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