モビリティ

2025.10.22 12:30

テスラを追う米新興EV「リビアン」、680万円の小型SUV「R2」を2026年初頭発売へ

RIVIAN「R2」(C)RIVIAN

新車販売全体に占めるEV販売比率、2026年の米国は約8%で停滞の見通し

第3四半期には、米国のEV販売台数が新車販売全体の10%以上を占めるまでに拡大するなど、業界全体で電動化が進展したものの、米国は依然として世界の中で遅れを取っている。S&Pグローバルによれば、中国では新車販売のうちEVがすでに50%を占め、世界最大の自動車市場となっている。欧州主要5カ国でも、その比率は23%に達している。

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一方、コックスオートモーティブの予測では、2026年の米国における新車販売全体に占めるEV販売比率は、複数の自動車メーカーによるEV事業の縮小や連邦優遇策の終了を受け、前年から横ばいの約8%にとどまる見通しだ。

テスラは政治色と品質評価が逆風、R2に追い風が生じる

テスラの販売台数は、第3四半期に一時的な回復を見せたものの前年比で6%減となっている。また、同社のブランドイメージも、マスクが今年前半、トランプ政権下で政府効率化省(DOGE)を率いたことで大きく低下した。彼の右派的な政治姿勢や物議を醸すSNSでの発言が、かつて「クリーンな交通手段と再生可能エネルギーで気候変動と戦う象徴」だったテスラのイメージを傷つけ、距離を置く消費者を増やしている。

マスクは依然として自身のSNSプラットフォーム「X」で賛否両論を呼ぶ存在だが、テスラは販売の立て直しを図り、最低価格を3万9990ドル(約600万円)に引き下げた「スタンダード」仕様のモデルYを新たに投入した。とはいえ、この車両の評価は芳しくない。自動車情報サイトEdmundsは「一部の変更は安っぽく、誠実さを欠いているように感じられる」と評している。

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スカリンジはテスラに触発されてリビアンを立ち上げたが、彼の経営スタイルや公のイメージはマスクとはまったく異なっている。マサチューセッツ工科大学(MIT)で機械工学の博士号を取得した礼儀正しい経営者である彼は、妻と3人の息子を持つ家庭人でもある(一方、マスクは少なくとも3人の女性との間に14人以上の子どもをもうけている)。アウトドアスポーツを愛するビーガンでもあるスカリンジは、「社会全体の利益のためにEVへの移行を進める必要性」を繰り返し語っているが、マスクは近年こうした発言をほとんどしなくなった。またスカリンジは、マスクのようにSNS上で政治的な発言や挑発的な投稿をすることを避けている。

R2最大の焦点は年間販売台数10万台、6桁到達で勝負が決まる

リビアンの新型モデルであるR2がどれほど支持され、どれほど売れるのかは、来年初めの販売開始までわからない。AutoPacificのキムは「R2の年間販売が10万台を突破すれば、それだけで大きな成果だ」と述べている。

「販売台数でトップに立つテスラのモデルYと、その次の車種とのあいだには、非常に大きな隔たりがある」とキムは指摘する。「果たしてリビアンというブランドに、R2で6桁台の販売を実現できるだけの力があるのか?──そこが最大の焦点だ。実際、テスラ以外の自動車メーカーで、このような数字を達成した企業はひとつもない」と彼は続けた。

forbes.com 原文

翻訳=上田裕資

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