税優遇終了前に一時的に需要が膨張、その反動で市場は減速リスク
R2で大きな賭けに出るリビアンだが、米国のEV市場は現在微妙な局面にある。前四半期には、連邦補助金が終了する前に購入しようとする消費者が殺到し、EV販売が一時的に急増した。この反動で、今後の需要が落ち込む可能性がある。ゼネラル・モーターズ(GM)をはじめ大手各社はEV計画の見直しを進めており、日産とホンダは一部の電動モデルを打ち切る方針だ。フォードのジム・ファーリーCEOも、「連邦優遇策がなくなれば、米国のEV需要は半減する可能性がある」と警鐘を鳴らしている。
スカリンジは、EV市場が今後「本気でEVに取り組む企業」と「排ガス規制や燃費基準を満たすためだけにEVを販売してきた企業」とで明確に分かれると見ている。トランプ政権がそうした規制を緩和したことで、状況はさらに変化している。
価格の歪みを生んだ格安リースが消滅、市場の健全化が進む
「これまで魅力に欠ける電動モデルの販売を維持するために、極端に安価なリースを提供してきた大手メーカーは、今後はEVを生産しなくなるだろう」とスカリンジは語る。「その結果、リビアンにとってもテスラにとっても市場環境はむしろ健全化する。誰もが困惑するような“月19ドル(約2869円)のリース”のような車両がなくなれば、すべてのメーカーが値下げのプレッシャーを受けなくなる」。
伝統的なSUVらしい外観と実用性を備えるR2、VWと約8758億円の合弁でソフト強化
リビアンの5人乗りのR2は、テスラのモデルYとは異なり、フォードの「ブロンコ」やランドローバー・ディフェンダーのように、より伝統的なSUVらしい外観と性能を備えている。スクエアなボディ形状と高めの地上高を特徴とし、R1シリーズと同様に、日本のアニメキャラクターを思わせる独特の楕円形ヘッドライトを採用している。
またR2は、インフォテインメントシステムなどを将来的にアップデートできるソフトウェア構造を持つ。リビアンの自社開発によるソフトウェア技術は、他の自動車メーカーと比べても大きな強みだとスカリンジは語る。「当社の独自のソフトウェア基盤は、フォルクスワーゲンと結んだ58億ドル(約8758億円)の契約の一部としてライセンス供与された」。
2024年に発表されたこの契約には、リビアンが開発したソフトウェアとEV専用の電気アーキテクチャを、フォルクスワーゲンの複数ブランドの新型車に採用することを目的とした合弁事業の設立が含まれている。
米国発売後に欧州への投入も開始、11月に進捗と計画を更新
R2の米国での発売後、リビアンは同モデルを欧州市場にも輸出する計画だ。ただし具体的な時期について、スカリンジは明言を避けた。同社は11月4日に発表予定の第3四半期決算で、R2の進捗やその他の事業動向について最新情報を公表する見通しだ。


