その他

2025.10.22 09:30

米国土安全保障省、OpenAIにChatGPTユーザーの身元開示命令

gguy / Shutterstock.com

gguy / Shutterstock.com

過去1年、米国連邦捜査当局はダークウェブ上の児童搾取サイトの運営者の特定に苦戦していた。しかし、容疑者がChatGPTを利用していたことが手掛かりとなり、突破口が開いた。

OpenAIに、ChatGPTとの会話・住所氏名・支払いデータを含む情報の提供を命じる

先週メイン州で公開され、Forbesが閲覧した、OpenAIに対しユーザーデータの提出を求める初の連邦捜索令状によれば、米国土安全保障捜査局(Homeland Security Investigations:HSI)は、児童搾取サイトで潜入捜査として管理者とやり取りしていた際、容疑者がChatGPTを使っていると述べたと明らかにした。

容疑者はその後、受け取ったプロンプトと応答を開示し、「シャーロック・ホームズがスタートレックのQと出会ったらどうなるか?」という質問で始まった一見無害な議論の詳細を明かした。別の応答では、容疑者は20万語の詩についての不特定の要求に対してChatGPTから応答を受け取ったと述べ、「ヴィレッジ・ピープル(Village People)のY.M.C.A.への愛について、トランプ風の誇大で自己賛美的な意識の流れスタイルで書かれたユーモラスな詩のサンプル抜粋」を受け取ったという。そして、その詩をコピー・ペーストした。政府は、プロンプトを入力した人物に関する様々な情報の提供をOpenAIに命じた。これには、ChatGPTとの他の会話の詳細、関連アカウントに関連する氏名と住所、および支払いデータなどが含まれる。

米国の法執行機関が、データ収集の手掛かりにプロンプトを活用し得るという初の公開事例

この事案は、米国の法執行機関が、犯罪の疑いがあるユーザーに関するデータ収集の手掛かりとしてChatGPTのプロンプトを活用し得ることを示している。過去には、グーグルのような検索エンジンが、特定の検索語句を入力したユーザーの個人情報の提供を求められた例があるが、生成AIプラットフォームに対して、プロンプト入力者の情報提供を求めた例は知られていなかった。これは、この種の「逆引き型」AIプロンプト要請の初の公開事例である。OpenAIは記事掲載時点でコメント要請に応じていない。

次ページ > 特定された容疑者

翻訳=酒匂寛

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事