大谷翔平や菊池雄星を育てた岩手・花巻東高校野球部の監督を父に持つ、佐々木麟太郎(20)。現在、米国のスタンフォード大学2年に在籍する麟太郎選手への単独インタビューが、10月初旬に実現した。
勉学に励みながら同大野球部の内野手として52試合先発出場を果たし、1年次には優秀な学生アスリートに贈られる「オールアカデミック賞」に選出。充実した毎日を送る麟太郎選手が、パロアルトの大学寮から「二十歳の今」を語った。
大学の授業で特に面白いのは「会計」
いっときの充電とリセットの時間を経て、岩手・花巻東高出身の佐々木麟太郎が日本からカリフォルニアの地へ戻ったのは9月下旬のことだ。起業家にノーベル賞受賞者、スポーツにおいてもオリンピアンと、グローバルな人材を輩出してきたアメリカの名門・スタンフォード大学で今、彼は「野球」と「学業」の両立に挑み続ける。周知の通り、アメリカの大学は「秋学期(Fall)」から始まるのが一般的だ。つまり、秋口から”新しい1年“がスタートするのだが、大学2年生となった麟太郎は「プレゼンテーションの授業が増えました」と言って充実した表情を浮かべる。
「2年生はとにかくプレゼンの授業が多いんです。最近では……たとえば『ドキュメント』を題材にした授業。ドキュメンタリー映画の作者は何を考えて制作したのか、何を伝えようとしているのか。そこを掘り下げて研究しまくって、最後は大きなプレゼンをするんですが、今は5分、10分単位で発表しています。もちろん、英語で」
麟太郎はクスッと笑い、「グローバル的な考えの作品などを掘り下げていくのはおもしろい」とも語るのだ。2年生になってから興味が湧いた授業を訊ねると、「入門編ですけど、『経営者と起業家のための会計』という授業」と教えてくれた。スタンフォード大学での日々の学びが、異国で挑み続ける麟太郎の『二十歳の肖像』を形作っているのだと実感する。
アメリカの大学スポーツにおける本質として、「スチューデント・アスリート」という表現がある。要するに「アスリートである前に、まずは学生である」、文武両道が基本であることを示す。NCAA(全米大学体育協会)のような大規模な体育連盟では細かな学業要件も設けられているのだが、スタンフォード大学も然り。アメリカへ、そして名門大学へ挑戦する決断をしたとき、「両立」は麟太郎にとって大きなテーマだった。大学1年生を終えた時点で、彼は学業成績と運動能力が一定の評価基準を上回った優秀な学生アスリートに贈られる『オールアカデミック賞』を手にした。



