リーダーシップ

2025.10.23 08:15

部下の突然の離職は防げるか 予兆を見抜けなかった管理職4割の共通点

Getty Images

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部下から突然、離職や休職を持ち出されるケースが多い。きちんと部下に向き合っていれば、そこまで彼らを追い詰めることもなかったろうに、と言うのは簡単だ。上司は何も仕事をサボっているわけではない。どうして離職を止められないのか。そこには悲しい管理職の実態が関係していた。

企業向けコミュニケーションツールやサービスを提供するPHONE APPLI(フォンアプリ)は、従業員数1000人以上の企業で5人以上の部下を持つマネージャー以上の管理職110人を対象に、チームマネージメントの課題に関する調査を実施した。それによると、部下の離職や休職の予兆を把握していた人は多いものの、気づいたのは直前だった、把握できていなかったという人は合計で約4割にのぼった。

理由を尋ねると、もっとも多かったのが自分の担当業務が多すぎるというものだった。つまり忙しすぎて部下のマネージメントに手が回らないという状態だ。事業に関わる業務をしながら部署のマネージメントを行う管理職を「プレイングマネージャー」と呼ぶが、事実上、すべての管理職がそうだろう。

また、判断の基準になるデータがない、面談の時間が十分に取れないといった企業側の対策不足も示唆されている。さらに、リモートワークで部下の様子が見えにくいという意見もあり、対応をさらに難しくしている。

こうした状況をPHONE APPLIは、問題が管理職個人の能力や意欲ではなく、部下と向き合う時間が取りにくい「時間的・構造的な課題」と指摘している。マネージャーと言うからには、担当部署のマネージメントが大きな役割なのだが、実際、マネージメント業務に充てられる時間は1週間あたり2時間未満が約18パーセント、5時間未満が約27パーセント。1日に1時間もとれていない。そうなると、早くから離職や休職の予兆に気づいていた管理職も、適切に対応できたかは疑問だ。

そんな状態で部下の対応に注力するよう強いるのは酷だ。マネージャーが突然離職を言い出しかねない。そこで、マネージメント専用ツールなどをうまく導入して、業務の効率化を進めることをPHONE APPLIは推奨している。とにかく、「忙しすぎて仕事にならない」という矛盾した状態を打開するには、やっぱりDXしかないようだ。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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