AI活用による広告戦略で、ユーザー数が劇的に増加
パブロフスキーは、この劇的な成長を「広告戦略の最適化にAIツールを活用した成果だ」と語る。Headwayは画像生成ツールのMidjourneyや動画生成ツールのHeyGenを使い、膨大な数の広告用画像や動画を生成。インスタグラムやTikTokなどのプラットフォームに大量配信し、常にテストと改善を重ねている。さらにHeadwayは、挑発的なマーケティングを恐れない企業としても知られている。最近のインスタグラム広告ではこう謳われていた──「そうだ、AIはあなたの仕事を奪う。Headwayで進化せよ。自分の席を守れ」。
そして皮肉なことに、その広告を作ったのもAIだった。
AI広告が新規登録の2割を占め、米国市場が収益の半分に
2024年、Headwayの広告は70億回以上のインプレッションを獲得し、新たに4600万人のユーザーを呼び込んだ。同社の試算によれば、AIツールの活用によって動画広告の広告費用対効果(ROAS)は40%向上したという。現在では、静止画ベースのAI広告が新規サブスクリプションの約20%を占め、米国からの収益がHeadway全体の50%以上を占めるまでになっている。
また同社は、アプリの言語対応をかつての英語のみから拡大し、Impulseでは21言語、Headwayでは6言語に対応した(ただし、奇妙なことにウクライナ語は含まれていない)。これにより、より多くの国への展開が可能になった。
現在、Headwayは企業向けの人材育成プラットフォームを開発中で、今後も毎年新しいプロダクトを発表していく方針だ。
タイパ重視の学習法に、教育学者からは懐疑的な声
しかし、その成長にもかかわらず、一部の教育学者はHeadwayが採用する「短時間で学ぶ」形式に懐疑的だ。コロンビア大学ティーチャーズ・カレッジでテクノロジー・メディア・学習プログラムを統括するイオアナ・リテラットはこう指摘する。
「教育テクノロジーは常に社会の不安を反映してきた。今回のケースでは、その不安は“時間”に関するものだ。知識をどんどん小さな単位に圧縮していけば、時間を超えられるという発想がある。でも学習科学の研究者たちは知っている。本当の学びには“ゆっくりとした時間”が必要だということを」。
彼女の同僚の認知科学教授リン・シャオドンは、Headwayのアプリを「より深い学びへの優れた入り口」と評価する。ただし、彼女はこう警鐘を鳴らしている。「人々が、本1冊にどっぷりと浸ることで得る体験を完全に置き換えることはできない」。
パブロフスキーもこの見方に同意している。社員によれば、年間およそ70冊の本を読むという彼のオフィスの壁は、天井まで本で埋め尽くされており、社員のために設けた読書室も同様という。「本と読書は私にとって本当に大切なものだ。でも、誰もが本を好きなわけではないことも理解している」と語る彼は、「私たちは、今の時代に合った“学び”を提供している」と述べている。
VCが戦略的投資、成長性を評価
パブロフスキーはまた、Headwayの成長が今後も続くと見ている。今年7月、同社はルクセンブルク拠点のベンチャーキャピタル、Bullhound Capitalから「戦略的投資」を受けたと発表した。
「Headwayは、かつて私たちが投資したSpotifyやSlackのような企業を思い出させる。創業者たちは業界の枠を超えるほど大きなビジョンを持っていた」と語るのは、Bullhoundの創業パートナー、ペール・ローマンだ。彼は2023年、スペインのマルベーリャで開かれたイベントでパブロフスキーと初めて出会ったという。
「彼は本当に特別な人物だと思った。嫌いになれないタイプの人間だ」と語るローマンは、パブロフスキーと“学ぶこと”への共通の情熱を通じて意気投合した。
2029年のNY証取上場を目指し、約1510億円の収益目標
パブロフスキーは、Headwayの年間収益が2029年までに10億ドル(約1510億円)に達すると見込んでおり、その時点でニューヨーク証券取引所への上場を計画している。すでにその準備は始まっており、今月初めにはニューヨークを訪れ、来年1月に現地オフィスを開設する予定だ。「顧客や市場に、もっと近づきたい」と彼は語る。
ウクライナの状況に関して言うと、戦争が続くなかでもHeadwayの社員の大半はすでに帰国しており、同社は拡大に合わせてキーウ市内の4フロアにわたる新しい大型オフィスへと移転したばかりだ。「ここにいる人々は、驚くほど才能にあふれ、たくましく、そして勝つことへの強い意欲を持っている」とパブロフスキーは語る。彼自身もまさにその1人だ。
空襲下でも業務を止めず、地下拠点を整備して継続運用
フォーブスとのビデオインタビューのさなかに、空襲警報が鳴り響いたときも、彼は気に留めることなく話を続けた。さらに深刻な脅威が迫り、チーム全員がオフィスの地下駐車場に避難せざるを得なかったときでさえ、業務を止めることはなかった。彼は避難所となった地下のフロアにWi-Fiと軽食コーナーを設置し、仕事を続けられる環境を整えたのだ。


