また、人は勉強やテレビ視聴のような静かな状況、あるいは非対話的な状況、 基本的には何も考えておらず、デジタルの誘惑に最も弱い瞬間にスマホに手を伸ばしやすいことも明らかになった。
これらの調査結果は、私たちが徐々にあることに気づき始めていることを浮き彫りにしている。それは、SNSが常に刺激を求めるように心を微妙に条件づけているということだ。
この習慣は、スマホの使用に限ったことではない。生活のあらゆる分野に広がり始める。脳は絶え間ない刺激に慣れてきているため、あらゆる状況で同じレベルの興奮を切望するようになる可能性が高い。静寂の中で落ち着きがなくなったり、「何も起きていない」ときに不安を感じ始めるかもしれない。
読書や食事、仕事、会話など、何か有意義なことをしているときでも、心のどこかではまだ何か他のことを確認したり、見たり、反応したりすることを予期しているかもしれない。
これは精神的エネルギーを消耗させ、1つのことだけに深く関わることを難しくする。それが仕事であれ、会話であれ、自分を見つめ直すことであれ、注意は完全に散漫になってしまう。基本的に、注意散漫がデフォルトになってしまう。
たとえわずかでも意識的にスローダウンすると、人生の送り方に変化があることに気づき始める。こうした変化は最初は微妙なものだが、すぐにあなたの行動すべてに波及していく。
注意散漫が時間の感覚を狂わせる
人生を急いだり、常に気が散って何らかの刺激に依存するようになると、時間が歪んで感じられるようになる。重要であるはずの瞬間が、ほとんど気づかないうちに過ぎ去ってしまうこともある。
これは、人生の重要な瞬間に注意を向ける能力を最終的に低下させるため危険だ。深い会話や個人的な達成感、愛する人との心温まる瞬間のような単純な喜びも、気づかれなかったり感謝されなかったりすると、無に等しいと感じるかもしれない。振り返ってみると、人生を十分に味わえたはずなのに味わえなかったという、虚無感や後悔が残ることもある。
専門誌『Journal of Psychiatric Research(ジャーナル・オブ・サイキアトリック・リサーチ)』に2018年に掲載された研究では、SNS中毒のリスクのある人が時間をどのように認識しているかを調べた。SNS中毒のリスクがあると分類された人は、タスクにかかる時間を一貫して多く見積もっていたが、リスクの低い人は時間を少なく見積もっていた。SNSについて考えることさえ、調査参加者の時間感覚をゆがめた。
この研究はおそらく、現在多くの人が経験していることを改めて示している。スマホや通知、次のタスクに注意を向けることが習慣化していると、時間の経験そのものが断片的になってしまう。
スローダウンすると時間の感覚が広がる
マインドフルネスが、時間の感じ方をどのように形成するかを調べる研究が増えている。専門誌『Neuroscience and Biobehavioral Reviews(ニューロサインエンス・アンド・バイオビヘイビオラル・レビューズ)』に2024年に掲載された大規模な統合的レビューでは、約5800人が参加した47の研究から得られた証拠を総合して、この関連性を探っている。
主要な心理学データベースからデータを収集した結果、マインドフルネスと時間知覚は、複雑で多面的な関係を共有していることがわかった。マインドフルネスは、長期的な瞑想の実践に見られるように、時には時間を遅くし、タスクに没頭している時には時間を速く感じさせるなど、さまざまな文脈や判断の枠組みで人の時間の感じ方を変えることができることが示唆された。


