教育

2025.10.22 11:00

乳幼児に電子機器を与える親が急増 リスクを理解しながらも利便性優先か

Shutterstock.com

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米世論調査機関ピュー・リサーチセンターが3054人の親を対象に行った調査によると、38%の親が2歳未満の乳児にスマートフォンで遊ばせていた。2歳未満の子どもの62%は少なくとも時々、米動画投稿サイト「ユーチューブ」を閲覧していた。この割合は、わずか5年前の45%から大幅に増加している。親が知る限りでは、12歳未満の子どものうち、人工知能(AI)チャットボットとやり取りしているのはわずか8%にとどまった。

12歳未満の子どもにとって、テレビ視聴が依然として最も一般的な娯楽だった。子どもたちの間では、スマートフォンよりタブレットの方が普及していた。興味深いことに、親の収入が低いほど子どもたちがスマートフォンに触れる機会が多く、中所得層や高所得層の親は子どもに携帯電話を与える可能性がはるかに低いことが判明した。

12歳未満の子どもたちが使っている電子機器の内訳は次のようになっている。

● テレビ 90%
● タブレット 68%
● スマートフォン 61%
● ゲーム機器 50%
● PC 39%
● 音声認識アシスタント 37%
● スマートウオッチ 11%
● AIチャットボット 8%

専門家は、これほど長い時間を電子機器に費やすことは危険だと警鐘を鳴らしている。筆者の取材に応じた米南カリフォルニア大学(USC)のジュリー・オルブライト教授は、デジタル技術はラスベガスのスロットマシンのように中毒性があると指摘した。同教授は「私たちの脳はデジタル技術との相互作用に基づいて変化しており、集中力が低下している」と警告した。

懸念されるのは、子どもたちの脳が不自然な方法で発達していることだ。オルブライト教授は次のように説明する。「今、問題となっているのは、移動性の世界に育つ乳幼児たちだ。つまり、乳幼児がタブレットやスマートフォンを持っているという状況は、ゆりかごの頭上にタブレットが固定された状態で育っていたり、言葉を習得する前にスマートフォンを操作したりしているようなものだ。こうした状況によって、乳幼児の脳内の神経回路が変化しているのだ」。これは子どもたちが学校に通い始めると、精神衛生上の問題となって表れることもある。

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翻訳・編集=安藤清香

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