2000年ごろをピークに雑誌の発行部数は減少を続けている。デジタルメディアが普及したせいなのか、若者の活字離れのせいなのか、ハッキリしたことはわからないが、とにかく雑誌を買わない人が増えている。雑誌はその役割を終えたのだろうか。
10代と現役高校生を対象としたマーケティング情報サイト「ワカモノリサーチ」は、全国の15〜20歳931人を対象に「紙の雑誌」に関するアンケート調査を行ったところ、今年、紙の雑誌を買ったという人は約2割という衝撃的な結果が出た。

理由は、欲しい情報はSNSなどでタダで手に入るという意見もあったものの、「興味がない」がとくに多かったとのこと。8割の若者たちにとって、紙の雑誌は完全なオワコン。情報源や娯楽としてまったく意識からはずれた存在になっている。
では、雑誌を買った2割は、どうして買ったのだろうか。理由の多くが「推しが出ているから」、「推しが表紙をかざってたから」、「好きなインフルエンサーの特集があるから」と、ほぼ「推し」がらみであることがわかる。しかしその人たちも「推しの特集しか読まない」、「推し以外はスルー」と答えている。
付録目当てという人も多い。「付録が欲しいのにいらない雑誌がついてくる」との残念な意見も聞かれた。買った人たちですら、雑誌というメディアにとくに魅力を感じているわけではないようだ。
一縷の光は、雑誌は高いから買わないという意見が意外に多かったこと。希望的に裏を返せば、もっと安ければ買ってくれるかもしれないと言えなくもない。
雑誌の楽しみのひとつに、誌面のグラフィックデザインがある。雑誌には、かつて日本が世界をリードしていたグラフィックデザイン文化を大衆化する役割もあった。メディアによってレイアウトが変化するデジタルメディアでは、上質なデザインを提供したくても難しい。そう考えるだけでも紙の雑誌の衰退は寂しい。一部では、手作りの小規模雑誌であるジンが流行している。雑誌の魅力と役割とは何かを、じっくり考え直してみたい。



