今、『使うための英語―ELF(世界の共通語)として学ぶ』(中公新書)が静かに売れている。以下、同書の著者で社会言語学者の瀧野みゆき氏に、ChatGPTに「Thank you」は電気代数千ドル? AIとのコミュニケーションコストと「英語の敬語」 に続き、「英語をAIと練習すること」と「英語の敬語」についてご寄稿いただいた。
ChatGPTに「Thank you」は電気代数千ドル? AIとのコミュニケーションコストと「英語の敬語」 に続き、本稿では「ビジネスシーンでの英語」について考えていきたい。
4. 気づかずに相手を不快にしている? ありがちな5つの英語表現
英語を「文法的に正しく話す」ことができるようになっても、「どのように聞こえるか」「相手にどう伝わるか」という感覚は、なかなか育ちにくい。特に、敬語表現がはっきりと明文化されている日本語とは異なり、英語では「距離の取り方」「やわらかい言い回し」などが、より曖昧かつ文脈依存的である。
以下に紹介するのは、日本人の英語学習者がよく使いがちな表現でありながら、実は英語を使い慣れた人の感覚では、特にビジネスの現場で「強すぎる」「不躾」と捉えられてしまう可能性のある例である。英語の言葉の感覚がわかりづらいので、ちょっと変かな、と気づけないことが多い。状況に合わせて、相手の気持ちに配慮した表現に変えるといい。
1. Please do it.
一見、丁寧に頼んでいるように見えるが、命令的に響く
「Please」がついているから丁寧だろうと安心して使いがちだが、実際には“Do X.”の命令をやわらかくしているだけで、ビジネスや初対面の相手には向かない。
おすすめの言い換え:
• Could you please do X?
• I’d appreciate it if you could do X. (より丁寧)
日本語でいえば:
「これ、やってください」よりも「お願いできますか」に近い。
2. This is a problem.
率直な指摘が、相手を責めるように聞こえる。
「あ、これは問題になりそう。。。」と思って率直に問題提起をしたつもりが、とっさに、英語で“This is a problem.”と言い切ってしまうと、責めている、あるいは全否定している印象を与えかねない。
おすすめの言い換え:
• This could be an issue. (より客観的)
• There seems to be a challenge we should look into.(協力して解決しようというニュアンス)
日本語でいえば:
「これはダメですね」よりも「検討が必要かもしれません」に近い。



