2025.10.22 07:15

ジョージアやブータンが急上昇、日本人旅行者が「名前より体験」を選ぶ時代

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日本人旅行者の価値観に大きな変化が起きているようだ。パリやロンドンといった定番の観光地ではなく、ジョージアのトビリシやブータンのパロなど、これまで日本人にはあまり馴染みのなかった目的地への検索が急増していることが、旅行アプリのスカイスキャナーが発表した「2026年トレンドが予測される旅行先10選」で明らかになった。

検索増加率トップ10の旅行先

今回の調査は2024年6月1日から2025年5月30日のフライト検索数を前年同期と比較したもので、絶対的な人気度ではなく「増加率」に注目している点が特徴だ。つまり、これは既に人気の旅行先ランキングではなく、「これから注目される場所」を示すデータとなっている。

結果はトビリシ(ジョージア)が275%増で1位、パロ(ブータン)が172%増で2位、ネヴシェヒル(トルコ)が171%増で3位となった。

ジョージアの首都トビリシ(スカイスキャナー提供)
ジョージアの首都トビリシ(スカイスキャナー提供)

以下、ウルル(オーストラリア)とニース(フランス)が同率4位で148%増、ラブアンバジョ(インドネシア)が123%増で6位、ウルサン(韓国)とウユニ(ボリビア)が同率7位で103%増、フーコック島(ベトナム)とロヴァニエミ(フィンランド)が同率9位で89%増という結果になった。

ネームバリューより体験を求める旅行者

注目すべきは、上位にランクインした都市の多くが、日本人旅行者にとってこれまで主要な旅先ではなかった点だ。トビリシ、パロ、ネヴシェヒルといった都市名を聞いて、すぐに場所をイメージできる人は少ないだろう。

調査ではこうした動きを、単なる有名な観光名所巡りから「感情を動かす体験」を求める旅へと価値観が変化していると分析している。

トレンドはさらに2つの方向に分かれている。ウユニやウルル、ロヴァニエミに代表される「一生に一度の絶景体験」と、ニースやフーコック島、ウルサンのような「混雑を避けてゆったり過ごす滞在型」だ。前者は圧倒的な非日常を、後者はゆったりとした時間の流れを求める、対照的な欲求を反映している。

この調査結果が示すのは、「誰もが知っている場所」よりも「自分が求める体験ができる場所」を選ぶ価値観へのシフトだ。こうした変化は旅行だけでなく、他の消費の場面でも見られるようになっている。「皆に知られているか」よりも「自分が何を得られるか」が、選択の軸になりつつあるのかもしれない。

【調査概要】
調査対象:スカイスキャナーの検索データ
集計期間:2024年6月1日~2025年5月30日

プレスリリース

文=池田美樹

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