8月に約1050億円超購入、2025年に集めた資金は累計約1500億円
8月になると、トランプ一家はこれまでで最大規模となるトークン売却計画を発表した。彼らは、小規模なバイオテック企業の買収を支援し、その企業が大量の株式を売却して得た資金で、7億ドル(約1050億円)超のWorld Libertyトークンを購入した。その資金のうち推定75%がDT Marks Defiに流れ込んだとみられている。この時点で、同社が2025年に集めた資金はおよそ10億ドル(約1500億円)に達していた。
フォーブスや他の報道機関は、このような一連の取引を検証し、トランプ一家の各メンバーが得た利益額を推定している。もっとも、これらの試算は、DT Marks Defiの所有構造が年初から変わっていないことを前提としたものとして、取引の連鎖によって大統領が約10億ドル(約1500億円)、ドナルド・ジュニア、エリック、そして19歳のバロンの3人で合計約1億5000万ドル(約225億円)を得たと試算している。しかし、実際の一家の収益額は、1月の契約内容の詳細次第で変わる可能性がある。
この取引をめぐる不明点は、最も基本的な問いから始まる──トランプ一家はどれだけの持ち分を、いくらで売却したのか?そこから疑問はさらに複雑になる。自己取引と大統領による利益追求が絡み合い、数億ドル(数百億円)を得る可能性を秘めた持株会社の価値を、当事者たちはどのように算定したのか?あるいは、この正体不明の買い手は、「トランプの任期の初期に安値で投資すれば、トランプ自身ですらこれからどれほどの利益を得るのか完全にはわかっていない」──そう踏んで賭けに出たのか? それともトランプは、巨額の利益を得る展開を最初から見越しており、任期の冒頭で持ち分の一部を手放す見返りとして巨額の支払いを要求したのか?
次の財務公開報告書を提出するのは、2026年5月
これらの答えが明らかになるのは、トランプが次の財務公開報告書を提出する2026年5月になるかもしれない。もっとも、その時になっても完全な透明性が得られるとは限らない。トランプはこれまでも、自身の富を誇示しながら、その内情を公にしないよう巧みに立ち回ってきたからだ。

