北米

2025.10.21 08:00

トランプが隠し持つ暗号資産の「金のなる木」と正体不明の持ち株会社

Photo by Kevin Dietsch/Getty Images

1〜3月に約660億円流入、4〜6月はアラブ首長国連邦(UAE)系投資会社も関与

ただ1つ確かなのは、DT Marks Defiがトランプの事業グループの中でも群を抜く莫大な資金を集めていることだ。暗号資産の世界に足を踏み入れたばかりの個人投資家から、業界の大物までが入り混じる少数の投資家グループが、1月から3月にかけて推定4億4000万ドル(約660億円。1ドル=150円換算)相当のWorld Libertyトークンを購入した。そのうちの75%の約3億3000万ドル(約495億円)がDT Marks Defiに流れ込んだ。しかも、それは始まりにすぎなかった。

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そして4月、DWFラボと呼ばれる企業がさらに2500万ドル(約38億円)分のトークンを購入し、そのうち推定1900万ドル(約29億円)がDT Marks Defiに送られた。その数週間後、エリック・トランプは、父の特命大使スティーブ・ウィトコフの息子ザック・ウィトコフとともに、ドバイで開かれた暗号資産カンファレンスに出席した。壇上でザックは、World Libertyのステーブルコイン「USD1」がアラブ首長国連邦(UAE)の大統領が設立した投資会社からの支援を受ける予定であると明かした。この投資会社はUSD1を使い、暗号資産取引所に20億ドル(約3000億円)を投資する予定だと説明した。

この動きは、World Libertyにとって実質的に数十億ドル(数千億円)規模の預け入れを約束する形となり、その資金を運用すれば年間数千万ドル(数十億円)規模の利息収入を生み出せる構図ができあがった。これは、たとえその正体が誰であろうとも、DT Marks Defiの所有者にとっては朗報だった。

フォーブスは6月に初めてDT Marks Defiの持ち分の売却契約について報じた。その数週間後、UAEの別の企業が1億ドル(約150億円)分のWorld Libertyコインを購入したと発表したが、そのうち推定7500万ドル(約113億円)がDT Marks Defiに送られた。6月30日、トランプはこの動きをスクープしたフォーブス記者に反撃した

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「フォーブスは正確な報道をする気すらない。私はあのろくでもない連中ともう何年も話していない。やつらは事実なんて求めちゃいない。すべてがわざと不正確なんだ。フォーブスなんてとっくに消えていると思っていたが、悪性の病気みたいにまだしぶとく生き残っている」と、トランプはTruth Socialに投稿した。

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翻訳=上田裕資

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