AI

2025.10.29 15:00

AIブームで資産1800億円 法人向け「フラッシュメモリー」のPure Storageを創ったエンジニア

Photo by Yuichiro Chino via Getty Images

今ではレガシーとなり追われる立場へ、新興企業がAI市場で攻勢をかける

しかし今ではPure Storageがレガシーなプレイヤーとなり、新世代のスタートアップがその牙城を狙い始めている。「既存のデータストレージ企業はAI向けのワークロードに対応する形でマーケティングを適応させ始めているが、現時点で製品そのものを作り替えた企業は1つもない」と語るのは、2016年にフラッシュベースのAIデータインフラ企業VAST Data(ヴァスト・データ)を共同創業したレネン・ハラックだ。

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Pure Storageとメタの契約が、実際の成果よりも話題性ばかりが先行しているのかどうかを断定するのは難しい。この契約はあくまでライセンス契約であり、メタが自社の大規模で野心的なAIインフラ構築のための独自のストレージシステムを開発する目的で、Pure Storageのソフトウェアと知的財産を利用する権利に対して対価を支払うというものだ。

Pure Storageの側は、メタ向けにハードウェアを製造する必要がないため、この取引はほぼ純粋に利益を生むものとなる。しかし、メタはもはや従来型のデータストレージをPure Storageから購入していないようだ。メタのAI研究に詳しい関係者がフォーブスに語ったところによれば、メタは2017年頃まではPure Storageを使用してAIデータを保存していたが、近年は別の競合他社の製品へと切り替えているという。メタとPure Storageの両社は、過去の取引の詳細についてコメントを控えた。

それでもコルグローブは、Pure Storageの製品力と事業戦略、そして1万3500社を超えるエンタープライズ顧客を抱えていることに揺るぎない自信を持っている。「1つだけ確実に言えるのは、AIの進化があまりにも速く、1年後、2年後、3年後に人々が必要とするものは、今日とはまったく異なるということだ。だからこそ企業には驚異的な柔軟性が求められる。そしてそれこそが、私たちが何よりも重視している点だ」。

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そう語るコルグローブのことをディーツェンは、「地球上でおそらく誰よりもストレージを理解している男」と呼んでいる。

しかし同時に、この分野の状況は16年前にPure Storageが誕生した頃とはまったく異なっており、フラッシュストレージだけでは、もはや競争優位を保つことはできない。AIブームの波に乗る新世代の競合が次々と台頭するなか、Pure Storageが市場シェアを失うリスクもある。そして、コルグローブ自身も手にしたばかりのビリオネアの地位を失うかもしれない。もっとも、本人はそんなことを意に介さないだろうが。

forbes.com 原文

翻訳=上田裕資

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