2. 背を向けるのではなく、向き合う
カップルがしっかりした土台を築くために必要な感情面での作業を終えたら、次に安全だと感じられる関係にするための「壁」を築く必要がある。ゴットマン夫妻によると、この壁はカップルが継続的に相手に「向き合う」ことで築かれる。
相手を認め、優しさを持って関わり、関心を示す
カップルは互いに日々、感情的なつながりを求めて数え切れないほどの小さな「サイン」を出す。実際にそのことを意識していなくてもだ。この行為は注意や愛情、理解を(たいていはさりげなく)求める瞬間だ。
「この夕日を見に来て」と言う、「上司が今日なんて言ったか、あなたには想像もつかないと思う」と言ってため息をつく、「横に座って」と誘う。そのたびにあなたはつながりを求めているのだ。
つながりを求めるサインは見過ごしがちだが、それでも生命線だ。書籍『Couple Observational Coding Systems』に掲載されたゴットマン夫妻の研究によると、こうしたサインにパートナーがどう反応するかで、関係がどれくらい長続きするかをかなりの精度で予測できる。
具体的には、幸せな結婚生活を続けているカップルでお互いのサインに向き合っている割合はおよそ86%なのに対し、離婚に向かうカップルでは33%だったことが明らかになった。
相手に向き合うというのは、あなたがおそらくそうだろうと思っているような意味だ。あなたがすべきことは、相手を認め、優しさを持って関わり、関心を示すことだ。
一方、サインを無視することは「背を向ける」ことになる。迷惑がったり反感を示したりすることは、相手に「敵対」することになる。どちらの対応も、サインを送った側にとっても関係全体にとっても好ましいものにはならない。
日々一緒に暮らすカップルにとって、つながりを求めるサインはほとんど目に見えない。些細なやり取りの中に隠れている。例えば、パートナーが「最高に面白いビデオを今日見たよ」といった一見取るに足らないことを言う。
もしあなたが相手のサインに向き合うのなら、やっていることを中断して「そのジョーク、シェアする?」と言うだろう。背を向ける場合、返事をせずにスマホをいじり続けるかもしれない。敵対するなら、ため息をついて「今忙しい」と言うだろう。
こうしたやりとりの結果は蓄積されていく。その意味で、カップルが互いの方を向くほど、双方が安心感を覚える。その逆もまた然りで、背を向けるほど、お互いに相手を拒否するようになる。
このことを念頭に置くと、人によっては常に相手に対応するようにしなければならない、あらゆる意味で常に完璧なパートナーでなければならないと思い込んでしまうかもしれない。だがそれは現実的ではなく、実際には必要でもない。
手を貸せるよう最善を尽くし、温かく対応し、自分もサインを出す
現実的には、十分な頻度で一貫性を持って相手に寄り添う必要があるだけだ。相手が必要とするときに手を貸せるよう最善を尽くし、温かく対応し、自分もサインを出す。双方がこれを習慣にすれば、共有する家庭の「壁」の中でどちらもこの上なく安心するようになる。


