パートナーがどんなに純粋な心持ちの人であっても、意図せずあなたの気持ちを傷つけてしまうことがある。記念日を忘れたり、約束を破ったりといったものはたいていアクシデント的なものだが、だからといって相手の心に痛みを与えないわけではない。だがこうした痛みのほとんどは、学んで成長する1度きりの過ちの産物だ。
しかし、専門誌『Journal of Social and Personal Relationships(ジャーナル・オブ・ソーシャル・アンド・パーソナル・リレーションシップス)』に今年8月に掲載された研究によると、現代の恋人たちが何度も犯しがちな過ちがあるという。1度だけの言い争いとは異なり、この過ちは複合的で破滅的な影響を与える可能性があるものだ。それは会話中にスマホを操作し、相手に注意を向けない「ファビング」だ。
ファビングが2人の関係をどのように悪い方向へ変えてしまうのか、そのメカニズムが研究で明らかになった。
「ファビング」とは
ファビングという言葉は10年以上前の2012年に誕生した。「phone(スマホ)」と「snubbing(無視する)」を組み合わせた混成語だ。研究者たちは今、これまで名づけることができなかった「手元のスクリーンを優先して目の前の人を無視する」という、ますます広まりつつある現象を表す新語を手に入れた。
おそらく、あなたも以前ファビングの罪を犯したことがあるだろう。1日中お互いの近くにいることが多いカップルでは、ファビングはさまざまな形で現れる。だが通常、それは非常に微妙なものだ。例えば、話している最中に表示された通知をさっとチェックしたり、誰かに「急いで返事」し、その間相手は辛抱強く待っているため、その後数分間気まずい沈黙が続く。
些細なようでも、生命のない物に負けているように感じる
このような習慣は、自分が行っているときにはほとんど些細なことに思えるかもしれない。結局のところ、あなたはおそらくパートナーをわざと無視しているのではなく、どちらかといえばマルチタスクをしているだけなのだ。だが、あなたの前に座っているパートナーにとっては、あなたの注意がそがれるその数秒間は、あなたが想像するよりもずっと深く心に突き刺さるものだ。相手はあなたの注意を引くために戦っているように感じ、さらに悪いことに、生命のない物に負けているように感じるだろう。
もちろん、あなたが謝ったり理由を説明したりすれば、たった1度のファビングは大した意味はないかもしれない。しかしそれが習慣化すれば、パートナーは今日あなたのスマホの画面に表示されているものよりも自分は重要でないのだと感じるようになるかもしれない。そして前述の研究によると、些細に見えるこの行動は、パートナーや関係全体に驚くほど大きな影響を与える可能性があるという。



