2人によれば、凱旋式のように考古学的証拠が豊富なイベントでは、出力は文献や考古学から知られている事実に「驚くほど近い」ものになりうるという。
「行列の山車、月桂冠、フォルム(Forum、古代ローマの公共広場)の密集した建築物が、見てすぐにわかるもっともらしさで現れます」と彼らは言う。一方で、古代ローマの牧神祭ルペルカリア(Lupercalia)のように利用可能な資料が少ない場面を生成しようとすると、「モデルは必然的に推測へとさまよいます」。
古代ローマにスマートフォン?
一方で、画像の歪みという問題もある。Re-Experiencing Historyの画像の中には、いかにもAIらしい光沢感が残るものや、手足が途中で消えたり現れたりする典型的な不具合が見られる。プラットフォームでの実験では、特に滑稽な結果も出た。ローマの凱旋行進を見物する群衆がスマートフォンを手にしていたり、ローマの政治家キケロが元老院で演説する場面で、マイクに向かって話しているように見えたりしたのだ。
「また、この技術は高齢、重労働、病などがその身に刻まれた人々の描写を苦手としています——多くの場合、理想化され欠点のない人物像へと安易に収束してしまうのです」と学者たちは述べる。
マイヤーとシュトレーベルは、AIの偏りや誤用に対する広範な懸念が正当であることを認めている。創作者らは、より大きな恐れを反映したAIに対する批判にも直面してきた——すなわち、この種のシステムが人間の想像力を弱めるのではないかという懸念だ。だが彼らは逆だと考えており、AIをめぐる議論はリスクだけでなく可能性にも目を向けるべきだと主張する。
「もっともらしさを目指す可視化を提供することで、私たちのプラットフォームは、想像力を代替するのではなく刺激するのです」と彼らは述べる。
Re-Experiencing Historyは現時点ではチューリヒ大学のメールアドレスを持つ者だけが利用できる。その他の人も登録は可能であり、一般公開された際には通知が届く予定だ。


