2. キャリアアップ
ジョブ・ホッピングの利点
会社で出世することに関しては、一般的には転職が早道だ。会社を移るたびに、より大きな課題に挑戦し、責任範囲を広げ、より上級の肩書きを得ることも多い。社外への移動により、昇進の妨げになる要素(社内政治、長い昇進スケジュール、組織のヒエラルキーなど)を回避できるようになる。
ジョブ・ハギングの現実
成長の機会が限られていたり、昇進プロセスが厳格であったりする企業では特に、ジョブ・ハギングをすると昇進が遅くなることが多い。組織によっては、内部プログラムを充実させることで、職場定着の懸念に対応している所もあるが、現実はもっと複雑だ。
米国でのトレーニング支出は2024年に3.7%減少し、大企業での平均支出は、2023年の1610万ドル(約24億1600万円)から2024年には1330万ドル(約19億9600万円)に減少した。多くの企業は、人材育成への投資を拡大するどころか縮小しており、ジョブ・ハガーにとって社内昇進はさらに困難になっている。
結論
ジョブ・ホッピングは、キャリアアップを決定的に早める。一般的にいえば、社外に移動するたびに、大きな挑戦、責任の拡大、上級職の肩書きがもたらされる。これを社内で達成しようとすると、通常何年もかかるだろう。
ジョブ・ハガーは、昇進や、ストレッチ・アサインメント(社員を成長させるためにあえて実力以上の仕事や課題に取り組ませる人材育成手法)を積極的に求めることで競争力をつけられるが、それにはかなりの努力と政治的な駆け引きが必要だ。研修への投資を削減する企業が増えるなか、社内での出世は難しくなっている。このようなパターンは、スキル開発の機会にも直接影響する。
3. スキル開発
ジョブ・ホッピングの利点
技術の急激な進歩、特にAIの発展ペースが速いため、スキル開発や市場性がこれまで以上に重要になっている。ジョブ・ホッピングは従来、以下の要素を提供してきた。
・多様な環境やビジネス課題との接触
・新鮮な視点と、異なる方法論
・スキルセットと適応力の自然な拡大
ジョブ・ハギングの現実
ジョブ・ハギングには、以下のような、プロフェッショナル育成に関わる課題がある。
・慣れ親しんだ環境に安住しすぎることによるスキルの停滞
・新しいアプローチや業界のベストプラクティスに触れる機会の制限
・継続的な学習が不可欠な、急速に進化する分野における市場性の低下
ただし、現在見られるジョブ・ハギングのトレンドは、必ずしも、職業的停滞を意味するものではない。AIの影響を懸念するジョブ・ハガーの中には、すでにAIや自動化技術のスキルアップを行なっている者も多く、継続的な学習の必要性に対する意識が高まっていることがわかる。
結論
ジョブ・ホッピングでは、多様な課題や手法に自然に触れることで、スキル開発を勝ち取る。ジョブ・ハガーは、スキルの停滞や市場性の低下という現実的なリスクに直面している。彼らは、積極的にスキルアップを図ることで競争力を維持できるが、職場の移動に伴って自動的にスキルが向上することと比べると、意図的な努力がはるかに必要となる。こうしたスキルの差は、雇用の安定に直接影響する。


