キャリア

2025.10.20 14:00

「転職で昇給・キャリアアップ」を狙うジョブ・ホッピングは、今でも有効か? 5要素を検討

Shutterstock.com

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野心的なプロフェッショナルが、より良いチャンスを求めて2~3年ごとに会社を変える「ジョブ・ホッピング」の時代は消えつつあるようだ。それに代わって、従業員が現在の地位にしがみつく「ジョブ・ハギング」と呼ばれる現象が出現している。

ResumeBuilder(レジュメビルダー)が米国のフルタイム労働者2221人を対象に実施した最近の調査によると、半数近く(45%)が、転職はリスクが大きすぎると感じており、現在の職務にとどまるジョブ・ハギング状態にあるという。

こうした変化の背景には、AIによる破壊的革新への懸念、経済の先行き不透明感、雇用市場の冷え込みなどがあり、転職がリスクに見合うかどうか疑問を抱く人が多い。

しかし、こうした劇的な変化は、重大な問題を提起している。プロフェッショナルたちは、戦略的に賢明な行動をとっているのだろうか? それとも、恐怖に駆られて、長期的な成功を制限しかねない判断をしているのだろうか?

どの戦略が最も報われるかを判断するために、キャリアの成功を定義する5つの重要な要素について検討していこう。すなわち、給与の伸び、キャリアアップ、スキル開発、雇用の安定、雇用主の認識という5つの要素だ。

ジョブ・ホッピングの伝統的な利点と、ジョブ・ハギングする人(ジョブ・ハガー)が現在直面している新しい現実を比較してみよう。

1. 給与の伸び

ジョブ・ホッピングの利点

ここ数年、給与アップといえば転職が主流だ。調査によると、社外からの採用者は通常10%~20%の昇給を要求するのに対し、社内昇進者の昇給率は平均でわずか3%~5%となっている。キャリアを重ねれば、複利効果によって生涯所得が数十万ドル増えることもある。

ジョブ・ハギングの現実

しかし、ゲームの流れは劇的に変化した。雇用の伸びは鈍化し、2025年8月の雇用者数はわずか2万2000人の増加にとどまり、失業率は4.3%に上昇した。ジョブ・ホッピングをする人(ジョブ・ホッパー)はその交渉力を大きく失った。

景気の先行き不透明感に直面する企業は、予算を引き締め、給与提示額を控えめにしている。従業員が安定して所属している組織は、社外の給与水準に合わせるプレッシャーが少ないため、社内における報酬の伸びは控えめになる。

結論

会社を変えることで、今日の厳しい市場であっても、給与の伸び幅は大きくなる。リスクは高まっているが、よその会社に移籍することによる給与の跳ね上がりは、ジョブ・ハガーが通常受ける社内昇給をいまだに凌駕している。

ジョブ・ハガーは、長期的な収入の可能性を、短期的な安全性と引き換えにしており、このトレードオフの代償は、キャリア全体にわたって大きくなる。キャリアアップの機会を検討すると、こうした給与面での優位性はさらに顕著になる。

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翻訳=藤原聡美/ガリレオ

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