宇宙

2025.10.17 15:00

週末は晴れ間を狙って彗星観測に挑戦しよう 「予想を裏切られる」前に楽しむための完全ガイド

2025年10月2日に撮影されたレモン彗星(C/2025 A6)(Dimitrios Katevainis, CC BY-SA 4.0 , via Wikimedia Commons)

今週末は、彗星の観測に挑戦する好機だ。緑色の光を放つ「レモン彗星(C/2025 A6)」と「スワン彗星(C/2025 R2)」は現在、日没後の空で順調に明るさを増し、週明け21日(火)の新月とオリオン座流星群の極大が重なるタイミングで最も見ごろを迎えると期待されている。ただ、彗星は突然暗くなってしまうこともある。17日(金)以降は、少しでも空が晴れていれば観測に挑戦するのがおすすめだ。

どちらの彗星も、明るさは暗い空でなら肉眼でぎりぎり見えるかどうか、といったところ。より明るいレモン彗星(C/2025 A6)は北西の超低空に、スワン彗星(C/2025 R2)は南西の低空に位置している。観測に最適な時間帯は日の入り1時間後からの30分間となる。双眼鏡を用意して臨もう。

基本ポイント

双眼鏡で観測可能なまでに光度を増した彗星は、昨年10月に地球に最接近した「紫金山・アトラス彗星(C/2023 A3)」以来となる。2つの中ではレモン彗星(C/2025 A6)のほうが明るく、彗星観測データベース「COBS」によれば4.8等級まで明るさを増している。一方、スワン彗星(C/2025 R2)は5.9等だ。

いずれも街灯や町明かりのない非常に暗い場所でなら肉眼でも見える等級だが、双眼鏡を使うと見つけやすい。倍率・口径は8×42や10×50が理想的だ。

レモン彗星(C/2025 A6)は2025年1月3日に米アリゾナ州トゥーソン近郊のレモン山天文台の観測で発見された彗星で、公転周期は約1350年。スワン彗星(C/2025 R2)はもっと最近の2025年9月11日、太陽の輝きから姿を現した際に発見された。公転周期は約2万2500年で、現在は太陽から遠ざかりつつある。

2025年9月11日に発見されたスワン彗星(C/2025 R2)。9月17日撮影(Team Ciel Austral)
2025年9月11日に発見されたスワン彗星(C/2025 R2)。9月17日撮影(Team Ciel Austral)

彗星を探す際は、In-The-Sky.comが提供するファインダーチャートや、星空・天文アプリ(スカイ・ガイド、ステラリウム、SkySafariなど)を使うと見つけやすい。

彗星は「予想を裏切るのが大好き」

彗星というのは予測が難しい天体だ。特に太陽に接近中は、突然明るくなったり、予告なく暗くなったりする。そのため、空が晴れていたら迷わず観測に挑戦したほうがいい。

「彗星は予想を裏切るのが大好きな天体だ。期待外れに終わる場合もあれば、予想外の輝きを見せることもある」と、米SETI(地球外知的生命体探査)研究所の上級天文学者で、スマート天体望遠鏡メーカーUnistellar(ユニステラ)の最高科学責任者フランク・マーチスは言う。

「レモン彗星(C/2025 A6)は今年初めには注目されていなかったが、この夏に劇的に明るくなった。おそらく新しい氷が露出したためだ。スワン彗星(C/2025 R2)は近日点通過後に発見された。太陽熱によってガスと塵が急増したためだろう。どちらも、彗星という存在が最高の形で私たちを驚かせてくれる天体であることを思い出させてくれた」

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翻訳・編集=荻原藤緒

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