北米

2025.10.18 08:00

米政府閉鎖で脚光、口紅・男性下着・ビッグマック指数など「風変わりな経済指標11選」

Shutterstock.com

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米連邦政府機関の閉鎖は2週間目に入ったが、合意の兆しはない。予測市場では、閉鎖が30日以上続くとの見方が強まっている。結果として、金融引き締めから緩和方向への転換期にある米国経済について、現状を把握するための指標が入手しづらくなっている。

数十万人の連邦職員が自宅待機となり、就労中の職員にも給与は支払われていない。中小企業庁(SBA)は融資保証を停止し、中小企業の重要な資金源が断たれた。さらに、金融市場にとって深刻なのが政府統計の停止である。労働統計局(BLS)は雇用統計などの公表を中止し、9月の消費者物価指数(CPI)は通常より1週間以上遅い10月24日に延期した。発表内容も、暫定的で不完全となる可能性が高い。

投資家や政策担当者にとって、これは大きな問題だ。経済成長率や物価、雇用の動向を測る基礎となるのが、まさにこうした政府データだからだ。統計が止まれば、市場の羅針盤は失われる。

もちろん代替指標は存在する。しかし、それらは公式統計の代替にはならない。ただ少なくとも当面は、代替指標だけを手がかりに経済を読む場面が増える。

インフレの実勢値を独自算出するサイトは、以前から数多い。多くは「政府発表より物価上昇率は高い」と主張するが、その正確性は一過性にとどまる場合が多い。失業率でも同様で、「実態ははるかに悪い」とする“自称エコノミスト”は少なくない。国内総生産(GDP)についても、経済分析局(BEA)の発表にかかわらず「すでに景気後退だ」と断ずる懐疑論がある。

景気動向を示す「代替指標」

一方、政府のデータを疑っている人や陰謀論者でなくても、代替指標の価値を認めることはできる。18年間にわたって米連邦準備制度理事会(FRB)議長を務めた経済学者アラン・グリーンスパンも、景気の悪化や回復を公式統計より先に示すと信じていた独自の指標を持っていた。それが「男性用下着の売上」だった。

そのような代替指標はいくらでもある。分かりやすいものでは、民間の給与データ、消費者物価の追跡データがある。一方で、スカートの丈や口紅の売上、質屋の取引量といった一風変わった指標もある。どれも完璧ではなく、政府統計を信用しない人にとっては検証も難しい。それでも、直感的な確認手段として役立つことがある。もしヘリテージ財団チーフエコノミストのE・J・アントニが提案したように毎月の雇用統計が一時停止されるなら、こうした指標が現状をおおまかに把握する目安になるかもしれない(アントニは、労働統計局[BLS]の局長指名を取り消された)。公式データと風変わりな指標が同じ方向に動いていれば、政府の数字にも一定の信頼性があることになる。

ただし、ここには厄介な問題がある。代替指標が本当に役に立つのは、それを比較するための信頼できる基準がある場合のみだ。そしてその基準こそが、いま失われたり遅れたりしている政府統計にほかならない。

ペンシルベニア州立大学の経済学准教授ラン・ショラーは、公式統計の最大の利点は「過去の年次データと比較できる点」にあると指摘する。過去との比較という歴史的基準がなければ、環境が変化する中で代替指標の有効性を判断しにくい。

カリフォルニア大学バークレー校のジョシュア・ブルーメンストックによると、経済学者たちはこの現象を「ルーカス批判」と呼んでいるという。これは、システムや環境が変化すれば、過去のデータに基づく関係性が崩れ、従来の予測モデルが通用しなくなるという考え方だ。

同校でグローバル・オポチュニティ・ラボおよびグローバル行動研究センターの共同ディレクターを務めるブルーメンストックは、その例として、グーグルが2008年に開発した「Google Flu Trends」を挙げる。これは検索データを解析してインフルエンザの流行を追跡するツールで、当初はうまく機能していたが、検索アルゴリズムや報道の変化でで精度が低下し、108週中100週で実際の感染者数を大幅に過大推計した。

要するに、代替的な経済指標もワシントン発の政府統計と同様、「絶対的な真実」ではないということだ。

こうした前提を踏まえたうえで、以下では「経済の健全度をざっくり確認するための」シリアスで奇抜な指標を紹介する。うなずきたくなるものもあれば、思わず目を丸くするものもあるだろう。いずれにせよ、これらの指標は話半分に受け取るくらいがちょうどいい。

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翻訳=上田裕資

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