「ゴーストガン」による銃撃事件で社会問題化、州ごとに異なる複雑な法規制が生まれる
米国でこの1年間に相次いだ銃撃事件を考えれば、SNS企業や議員が自作銃の動きを懸念するのは当然に思える。2024年12月に起きたユナイテッドヘルスケアのブライアン・トンプソンCEO殺害事件では、いわゆる「ゴーストガン」と呼ばれる3Dプリント製の銃が使用されたと報じられた。
2013年、Defense Distributed(ディフェンス・ディストリビューテッド)と名乗る団体が世界初のほぼ完全な3Dプリント銃を製作して以来、こうした銃の拡散に対する不安は高まり続けている。Glock(グロック)やRemington(レミントン)といった認可企業が製造する銃と異なり、3Dプリント銃は追跡が不可能であることが最大の理由だ。
その結果、3Dプリント銃の製造をめぐる法体系は複雑なものとなっている。連邦レベルでは、その銃が個人使用目的で販売を伴わない限り、3Dプリントによる製造は合法とされている。しかしデラウェア州、ニュージャージー州、ロードアイランド州など一部の州では、銃やその部品のプリント、設計図の共有、シリアル番号のない銃の配布が犯罪とされており、グループの活動の一部はこれらの地域では違法と見なされる。
銃規制を訴える非営利団体Everytown for Gun Safety(エブリタウン・フォー・ガン・セーフティ)のような強硬派は、3Dプリント銃を完全に禁止するための法改正こそが、こうした脅威に対抗する最善の方法の1つだと主張している。
前科を持つ管理者も存在し、犯罪とつながるコミュニティ
登録も追跡もできないゴーストガンを犯罪者が利用しているのは、もはや疑いようのない事実だ。今年初めには、2024年の大晦日に爆発物を使用すると人々を脅迫した容疑で、コネティカット州グランビーの男が起訴された。連邦捜査官が彼の自宅と電子機器を家宅捜索したところ、3Dプリンターと、大量の武器を製造していた証拠が見つかった。その一部はダークウェブ上の設計図をもとに、複数の銃器部品を自作して製造されたものだったという。男は銃器密売や機関銃および消音器の不法所持の罪で起訴されたが、無罪を主張している。
こうした犯罪との関係を断ち切るため、3D2Aグループの管理者やモデレーターたちは厳格なルールを設けている。フェイスブックとDiscordで計2万人以上のフォロワーを持ち、3Dプリント銃の設計を共有・検証している「Black Lotus Coalition」は、法令の遵守に加え、「礼節を保ち、虐待やいじめを禁止する」という明確な方針を掲げている。
同団体の創設者ゲージ・モランは、連邦法に関する知識を持つことを参加条件とし、設計者を審査してからグループに参加させていると説明する。また、法を理解していない、あるいは違反する可能性を示唆する者については、参加を拒否しているという。
大規模データ収集には、「法執行機関による越権行為すれすれ」との声も
米司法省は3Dプリント銃の信奉者への捜査をやめていない。こうしたSNSグループ全体を対象にしたデータ押収はまれであり、通常は政府が特定の犯罪への関与を示す「相当な理由」を得たうえで、個別のアカウントを捜索する形が一般的だ。そのため電子プライバシー情報センターの上級法律顧問ジョン・デイヴィソンはフォーブスに対し、3Dプリント銃が「深刻な公衆衛生上の懸念」である一方で、こうした大規模なデータ押収は「法執行機関による越権行為すれすれ」だと語った。
「このような規模でデータを収集すれば、どうしても単に興味を持っている人や、憲法修正第1条で保障された言論の自由を行使しているだけで、実際には何の犯罪行為にも関わっていない人々の情報まで含まれてしまう」とデイヴィソンは指摘する。
米司法省はコメントを控えた。フェイスブックの親会社メタとDiscordもコメント要請に応じなかった。
一方、グループの管理者たちは、自分たちが監視されていることをよく自覚している。トッド・ケリーは、自分が管理者またはモデレーターを務める複数のグループの参加者のうち「半分くらいは警察関係者だと思う」と語る。「政府が自分を監視していると常に思っている。それは気に入らない……だが、インターネット上で他人に知られたくないことはやるべきじゃない」と彼は言う。
しかし、明らかに犯罪と重なり合う部分もある。前科があり、法的には銃を所持する権利のないピーター・ラウセラは、それでもフェイスブック上で5000人以上のメンバーを抱える3D2Aグループを運営しているが、それでも彼は政府の監視をそれほど気にしていないようだ。
「自分はグループを運営しているが、前科があって銃を合法的に所有できないから、実際にはそれほど活動していない。“合法的に”という言葉の定義はあいまいだがね」と彼は語る。「重罪の有無に関係なく、誰もが自分の身を守るために望むどんな銃でも所有し、携帯できるべきだと信じている」とラウセラは続けた。


