雇用とインフレ、双方のリスク
現在の米経済において、FOMCはインフレ率と雇用市場のバランスを取る必要に迫られている。インフレ率は連邦準備制度理事会(FRB)が掲げる年2%の目標をやや上回っている一方で、雇用市場は軟化の兆しを見せている。
インフレが高止まりすれば利上げが求められ、逆に雇用市場の悪化が懸念されれば利下げが必要になる。だが、両方を同時に満たすことは不可能である。
多くの政策当局者が、現在の金利水準をやや「制約的」とみなしているため、基本的な方針としては、雇用市場のリスクを軽減するために利下げへと向かう可能性が高い。ただし、FRBはインフレ動向を注視しており、もし物価上昇が再加速すれば、雇用市場が深刻な悪化を示さない限り、利下げの実施は難しくなるだろう。
FRBのマイケル・バー理事は10月9日の講演で、現在米国が抱えるリスクを次のように要約した。
「経済の今後の動向には、依然として大きな不確実性がある。最近の雇用者数の伸びの鈍化が、経済後退の前兆である可能性もあれば、低い失業率と堅調な経済成長によって雇用者数の伸びは再び改善に向かう可能性もある。関税が物価に与える影響は限定的で、来年には2%のインフレ目標へと回帰する可能性もあるが、逆にインフレ率および将来のインフレ期待がともに上昇する可能性もある」。
今後の見通し
FOMCは、10月および12月の次回2回の会合で利下げを実施する見通しだ。その主な理由は、雇用市場の軟化である。これまで雇用市場は堅調に推移してきたが、現在はそのリスクがやや高まっているとFRBは判断している。それを背景に金利がわずかに引き下げられる可能性がある。
とはいえ、FRBがインフレの動向を注視する姿勢は今も変わっておらず、もし物価上昇が再加速した場合には、利下げの判断はより複雑になるだろう。


