北米

2025.10.17 10:00

コーヒー価格が過去最高水準に、米国 前年比20%上昇

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米労働統計局は、コーヒー価格が昨年8月以来20%以上上昇していると発表した。

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ブラジル国家食料供給公社(CONAB)が先月、2025年のアラビカ種コーヒー豆の生産量予測を4.9%下方修正し、3520万袋としたことを受け、米ニューヨークのインターコンチネンタル取引所(ICE)では、コーヒー先物価格が過去最高値を記録した。

米国のドナルド・トランプ大統領は7月、世界のコーヒー豆の半分以上を生産するブラジルとベトナムに対し、それぞれ50%と20%の関税を課した。これにより、干ばつや供給の混乱の影響を悪化させる結果となった。

最も一般的なインフレ指標である消費者物価指数(CPI)によると、7~8月にかけて食品価格は0.6%上昇し、昨年の同時期との比較では2.7%の上昇となるなど、食品価格全体が上がる中で、コーヒーの急騰が起きた。ただし、食品価格は過去1年間のインフレ率2.9%より緩やかな上昇にとどまっており、実際、冷凍野菜、アイスクリーム、シリアルなどの価格は下落した。他方で、コーヒーのように、食品の中でも価格上昇率が全体のインフレ率を大幅に上回る品目も多い。牛肉の価格が前年比約14%上昇したほか、卵は同10%以上、バナナは同6%、ベーコンは同5%値上がりした。

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米国では政府機関の閉鎖が続いているため、9月のCPI報告書の公表が遅れているが、労働統計局は24日に同報告書を発表すると伝えた。

コーヒー豆は適度に熱帯的な気候条件が整い、湿度が高く、水はけの良い土壌を持つ地域でのみ生育する。世界の「コーヒーベルト」は、北回帰線と南回帰線の間にある地域で、ブラジル、コロンビア、エチオピア、メキシコなど世界有数のコーヒー生産国が位置している。米国で唯一コーヒー豆の栽培が可能な地域はハワイ州だが、同州の生産量は国内コーヒー消費量の1%にも満たない。全米コーヒー協会によると、毎日コーヒーを飲む米国人は66%に上り、1人当たり1日平均3杯を消費している。

トランプ大統領の関税政策は、さまざまな品目の価格上昇や供給網の混乱を引き起こしている。同大統領は先月、食品に対する新たな関税を導入したほか、医薬品には100%、台所や浴室用の家具には50%の関税を課した。米労働省は今週初め、トランプ政権が着手している大規模な強制送還により労働力が減少し、食品価格の上昇を招く恐れがあると警告した。

議会では、トランプ大統領のコーヒー関税に対抗する動きもある。共和党のドン・ベーコン下院議員と民主党のロー・カンナ下院議員は先月、大半のコーヒー製品に対する関税を撤廃する超党派の「コーヒー税撤廃法案」を提出した。

forbes.com 原文) 

翻訳・編集=安藤清香

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