AI

2025.10.24 08:15

失われた非効率な時間を求めて 電通創造進化論 山西康太の場合

人工生命や仮想空間などのテクノロジーは、「身体」のありように問いを投げかけている。「動き」とテクノロジーのクロスポイントから生まれ出る発想や創造とは何か。その接続点で活動する電通のクリエイターたちが、ポストヒューマンのクリエイティビティについて語る。第1回目は「仕掛ける」から考える未来。


——さっき撮影中に、昼はカレーしか食べないって決めてると言ってましたよね。

山西:そうですね。昼はAIとメニュー開発しているカレーで、今バージョン6です。服は20歳の時から10年間ずっとデニムだけ。カバンもデニムです。

大学院がまちづくり系の研究室で、ワークショップで地方に行くと会う人に覚えてもらえるっていうのはあります。でも、最近、キャラが渋滞してるんで、あまり言わないようにしてるんですよ。

——悩みはキャラが渋滞してることですか?

山西:子どもの時からトイレが大好きとか、ほかにもいろいろあるんですけど、今はAIの人ということになってるんで。

——AI関係の仕事が多いそうですね。

山西:マーケティングのプランナーとして、戦略立案を中心にやってたんですけど、工作が好きで、趣味でツール開発をしていたら、仕事がちょっとずつ、そっちに寄っていって、今は仕事の100%がAI関連です。

最近だと、ファンダム分析のツールを作りました。コンテンツやアーティストのファンの特徴を、AIを使って高解像度に分析するんです。自分の場合は手を動かして「作る」から始めることが多くて、できたものを仕事に組み込むにはどうしたらいいかを日々たくらんでいます。

——アウトプットしたものから仕事が始まるわけですね。ファンダム分析について、もう少し教えていただけますか?

山西:これまでのファンダム分析って、アンケートだったりSNSの発話だったり、限定的か一方的なデータを使って頑張っていたんですが、「反応データだけ一律に分析しても、何に対して、どんな反応が、どれくらいあったorなかったのか、濃淡や共鳴のような濃いものが掴めてないんじゃないか?」と思って、発信と反応のデータをセットで収集してその関係性をAIで解析するシステムを作ってみたんです。

そのほかにも、言語的特徴にフォーカスしたり、別に集めたデータと合わせて示唆を出してみたり、色んな視点で探索していくとより生っぽいファンダムの理解ができて、リアルなファンダムを捉えられることでコンテンツやアーティストの価値や現在地がわかってマーケティングに生かせるわけです。

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text by Yuri Nakausa/ photographs by Yuta Fukitsuka

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