ハマスの将来はある程度、パレスチナ人の間での人気にもかかっている。ハマスはパレスチナ人の支持を失いつつあるとはいえ、完全に拒絶されているわけではない。パレスチナの調査研究機関、パレスチナ政策調査研究センター(PCPSR)が今年5月に実施した世論調査によると、ガザ地区では住民の58%がハマスのイスラエル攻撃を支持しないと答え、不支持の割合は2023年12月の37%から大きくなっている。
興味深いことに、ハマスはガザよりも、パレスチナ自治政府と、ハマスのライバルでより軍事色の薄い政党であるファタハが統治するヨルダン川西岸地区で人気が高い。そのためハマスはヨルダン川西岸での活動を強化している。PCPSRの同じ調査では、ハマスにガザ支配の放棄を求めたデモについて、支持すると答えたガザ住民の割合が48%にのぼったのに対して、西岸住民では14%の支持にとどまった。
ハマスの武装解除に関する質問からも、パレスチナ人の間の亀裂が浮き彫りになっている。ガザでは、ハマスの武装解除に反対と答えた人は全体の64%だったが、ヨルダン川西岸では反対が85%に達した。ハマスの軍事指導者の追放についても、ガザで反対者の割合が51%にとどまる一方、西岸では71%が反対と答えた。過去1年、ハマス指導部は概して統治よりも自らの生き残りに専念してきた。ハマスは公的な職務の場からほとんど姿を消しているが、それでもガザで存在感を維持している。
ハマスは弱体化しながらも、なおガザに深く根を張っている。ガザの権力がますます細分化するなかにあって、ハマスはパレスチナの政治でいまだに支配的な勢力となっている。イスラエル人人質とパレスチナ人囚人の帰還は重要な節目になったものの、停戦はまだ脆弱だ。そしてハマスは武装したままであり、依然として大きな影響力を保っている。


