(※編注:本稿は情報提供のみを目的としています。日本の金融庁・財務局への登録がない暗号資産交換業者において、暗号資産を取引することは推奨しません。暗号資産を取引する際は、金融庁が公開している「暗号資産交換業者登録一覧」をご確認ください。)
NFT市場の崩壊で、OpenSeaの月間収益は約186億円から約4億円へ激減
NFT市場の崩壊によって、OpenSea(オープンシー)は全従業員の半数以上を解雇する事態に追い込まれた。しかしその後、あらゆるトークン──特にミームコイン──の売買ができるプラットフォームへと生まれ変わり、取引量は再び急増している。
ワシントンの追い風を受けた暗号資産が新たな高値をつける一方で、NFTのような一時的に熱狂を集めた分野は低迷が続く。かつてこの分野に特化していたOpenSeaほど、その打撃を受けた企業はほかにない。
CryptoPunks(クリプトパンクス)やBored Apes(ボアード・エイプス)などのデジタルアートで知られたNFT市場は、2022年半ばから急落し、その価値は80%以上も下落した。2022年1月のピーク時、NFT取引の中心地だったOpenSeaの月間収益は1億2500万ドル(約186億円。1ドル=149円換算)、評価額は133億ドル(約1.98兆円)に達し、共同創業者たちの所有株式は一時的に20億ドル(約2980億円)を超える価値となった。しかし、2023年10月の月間収益はわずか300万ドル(約4億4700万円)にまで急落した。
OpenSeaを襲ったのは、NFTブームの終了だけではなかった。同社は、取引手数料がゼロでNFTクリエイターへのロイヤリティ支払いも不要にした新興ライバルのBlur(ブラー)に、急速に市場を奪われたのだ。OpenSeaが対抗策として自社のロイヤリティ方針を緩和すると、今度は顧客からの猛烈な反発を招いた。SNS上では「最低の連中だ」「邪悪だ」「茶番企業だ」といった非難が相次いだ。
苦境からの脱出をかけ、従業員の半数以上を解雇
キャッシュが流出し、市場シェアを失い続けるなか、共同創業者兼CEOのデヴィン・フィンザーは175人の従業員を集めて緊急ミーティングを開いた。彼は「会社の立て直しが必要だ」と宣言し、半数以上を解雇する方針を伝えた。目指したのは、より小さく、俊敏なスタートアップへの再構築だった。フィンザーは解雇を免れた従業員にも、希望すれば退職金を受け取って辞められる選択肢を提示した。
「本当に辛かったのは、予想以上に多くの従業員──しかも優秀な人たち──がその退職パッケージを選んだことだった」と、フィンザーは今、うつむきながら語る。1日も休みのない生活が続くせいか、その声には疲労の色がにじむ。彼は現在、マンハッタン中心部にあるWeWorkに似たコワーキングスペースを拠点に会社を指揮している。オフィスに常駐しているのは、ニューヨーク周辺に住む約6人のみで、現在のOpenSeaの従業員60人と契約スタッフ10人のほとんどはリモート勤務だ。



