夕空を駆ける彗星の姿を見たいのに、なかなか見つけられない、という人もいるだろう。星図や星空マップと空を見比べながら、専門家のアドバイスを頼りに根気強く探すのは正攻法だが、それでも見つからないときは、星空・天文アプリがこの上なく強い味方になる。
天体観測用のアプリは、スマートフォンの日時、GPS(位置情報)、電子コンパス(方角情報)、加速度センサーを利用して、リアルタイムの夜空の地図を表示してくれる。AR(拡張現実)モードを搭載しているものが一般的で、頭上の星空にカメラを向けるだけで、捉えた映像に天体の情報を重ねて表示できる。
惑星や恒星、銀河、星座の名前や位置がその場ですぐにわかるのだ。機能性の高い天文アプリなら、新しく発見された彗星の位置も表示される。米アップルの新技術Liquid Glass(リキッドグラス)の半透明デザインに最適化されたアプリも多い。
彗星の情報をデータベースに組み込んだ高機能の星空アプリがあれば、「レモン彗星(C/2025 A6)」と「スワン彗星(C/2025 R2)」を肉眼で観察することだってそう難しい挑戦ではなくなるはずだ。
スカイ・ガイド
最も洗練された実用的な星空アプリの1つだ。2013年に登場した直感的な「タイムトラベル」機能を使えば、明日や来週の彗星の位置もたやすく確認できる。また「ダークスカイ・ファインダー」機能を使うと、近場の観測スポットや月明かりが邪魔にならない時間帯の正確な特定が可能だ。
赤外線暗視モード、彗星探しが簡単にできる「Siriショートカット」機能、編集長のジェニファー・ミラード博士が厳選した天文ニュースなど、他にも注目の要素が満載。オフライン動作可能で、ダウンロードは無料。アプリ内課金で「PLUS」(月額600円)と「PRO」(月額1000円)にバージョンアップできる。
SkySafari 7 Pro
Simulation Curriculum(iOS/Android)
本格的な天体観測に取り組んでいて、観測記録の整理や望遠鏡・カメラの操作も一括して管理したい人には、「SkySafari 7 Pro」(価格:iOS=3000円、Android=3360円)がおすすめだ。高度な機能を使うにはこのアプリか、やや廉価な「SkySafari 7 Plus」(価格:iOS=2000円、Android=3360円)が必要だが、彗星を見つけるだけなら基本版の「SkySafari」(価格800円、Android向けは「SkySafari Eclipse」=1140円)でも十分だろう。
彗星のリストは検索メニューから簡単に表示でき、ワンタッチすれば美しい星空マップ上で、彗星の現在位置を確認できる。また、夜空の見え方を早送りして、明日の彗星の位置を調べることも容易だ。
スカイ・トゥナイト
スカイ・トゥナイトは軽量で使いやすいアプリだ。シンプルなAR体験で美しい夜空を探索でき、彗星の観測にも非常に向いている。
レモン彗星(C/2025 A6)とスワン彗星(C/2025 R2)を探すための機能はいくつかあるが、まずはカレンダー機能を使うのがいいだろう。両彗星の地球最接近に関する詳細情報を表示でき、そこからワンタッチでリアルタイムの夜空における位置を特定できる。手動で彗星を検索した場合は、直近の検索履歴からもワンタッチで星空マップに飛べる。両彗星に関する記事や、彗星の位置を友人と共有できる便利なスクリーンショット機能もある。
ダウンロードは無料。アプリ内課金(月額100円、年間700円、生涯プラン2000円)で広告を非表示にしたり、手動検索を減らしたりできる。



