経営・戦略

2025.10.16 08:30

中国政府が発表、アップルは米中貿易摩擦の最中も「中国への投資を拡大」

Fu Tian/China News Service/VCG via Getty Images

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中国工業情報化部(MIIT)が声明で発表したところによれば、アップルは今後中国への投資を拡大する予定だという。同声明によると、MIITはアップルCEOのティム・クックと会談し、中国での事業継続を改めて確認したという。これは、トランプ政権が中国からの輸入品に対し最大100%の関税を課すと警告している最中での発表である。

クックは米国時間10月15日、北京で工業情報相の李楽成と会談し、「中国におけるアップルの事業展開」について協議した。

李は、アップルが「中国市場でのプレゼンスをさらに深め」、中国企業との協力を強化することを望むと述べた。

声明によれば、クックは「中国への投資を引き続き拡大し、同国との協力をさらに進める」ことで合意したという。ただし、投資額の具体的な規模については明らかにされていない。

アップルはForbesからのコメント要請にはすぐに応じなかった。

クックの訪中は、トランプ大統領が中国との貿易摩擦を激化させている最中に行われている。トランプは最近、中国がレアアース輸出を規制したことを受け、同国に対して100%の関税を課すと警告していた。米国地質調査所によれば、中国は世界最大のレアアース輸出国であり、米国はその鉱物の約70%を中国から輸入している。これらの鉱物は、iPhoneを含む電子機器の製造に不可欠である。

しかしアップルは最近、米国企業のMPマテリアルズから5億ドル(約800億円)分のリサイクル・レアアースを購入すると発表した。このMPマテリアルズは、米国政府が7月に4億ドル(約600億円)で支配権を取得したレアアース採掘企業である。

アップルはiPhoneを国外で製造しており、主な生産拠点は中国とインドである。これは、トランプが掲げる「米国内への製造回帰」という方針と相反するもので、大統領はこれまで繰り返しアップルに対して米国内での生産を求めてきた。CNBCによると、もしアップルがiPhoneを米国内で製造すれば、その価格は25%上昇する可能性があるという。

トランプが今年1月に大統領に就任して以降、アップルは政権をなだめるため、米国でのさらなる投資を何度も約束してきた。2月、クックはトランプと会談し、今後4年間で5000億ドル(約75.6兆円)を国内に投資すると約束した。この計画には、ヒューストンに新たな製造センターを建設する計画も含まれている。

さらに8月、トランプは、アップルから「最初の巨額投資に加えてさらに1000億ドル(約15.1兆円)を投資する」との約束を得たと述べている。

forbes.com原文

翻訳=江津拓哉

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